一丸ファルコスは、実績豊富なロングセラーのヘアケア原料で新たな機能性データの取得を進めている。近年は多様性を推進する社会の風潮を受けて、職場や学校などで服装や髪型の自由化も進み、ヘアカラーやブリーチを取り入れて自分らしい髪色を楽しむ生活者が増えている。
一方、物価高が続いている影響もあり、サロンに行く頻度を減らしつつ、キレイな髪色をできるだけ長く保ちたいというニーズが高まってきている。
そのようなヘアケア市場の状況を踏まえ、同社はヘマチン由来の「グロスフィリンP」とポリアミノ酸からなる「ポリリジン10」の2つの天然由来の原料に、髪色の濃染効果や退色防止などヘアカラーの色持ちを向上させる作用を新たに見出した。
「グロスフィリン P」では、配合したシャンプー&トリートメントを、カラーリング後の髪に継続して使うことで、キレイな髪色を保ち、髪質の改善する効果も期待できることを確認した。
「ポリリジン10」については、研究成果を2024年11月に開催された第2回日本化粧品技術者会(SCCJ)学術大会にて、「ε-ポリリジンによる毛髪カラーリング剤の色持ち改善効果等の検証」という表題で発表を行っている。
まず、ヘモグロビンより製造されたヘマチンを主成分する「グロスフィリンP」を用いたヘアカラーのモニター試験では、20~40代の男女5名に市販のヘアカラーを処理した後、3%グロスフィリンP配合ヘアセラムと無配合(ブランク)セラムをハーフヘッドで塗り分けて15分間放置した。
洗髪・乾燥した後、色彩色差計による髪の明度を測定し、髪色の色持ち程度を観察した。被験者は施術日以降の1カ月間、1%グロスフィリンP配合シャンプー&トリートメントとブランクのシャンプー&トリートメントをハーフヘッドで使い分けて使用した。
染色4日後と1週ごとの髪の明度を色差計にて測定したところ、ブランクは週を追うごとに退色の進行が確認されたが、グロスフィリン配合シャンプー&トリートメントは使用して4日後に髪色がより濃く染まり、その後もブランクに比べて退色を防ぐことが確認された(図1)。
また、被験者にグロスフィリン配合セラムを処理した髪の状態を、ブランクセラムを使用した髪と比較してもらったところ、髪の「なめらかさ」や「ツヤ」などが上昇したと回答した。また、1ヵ月後の髪には整った光の反射が見られ、髪のうねりを抑える効果も認められた。
「ポリリジン10」は必須アミノ酸L-リジンが直鎖状につながったポリアミノ酸で、抗菌作用を有する保湿剤として敏感肌・低刺激性の化粧品で多数の採用実績がある。ポリリジンのヘアケア研究では、これまでに毛髪強度の向上、毛髪すべり感の改善、毛髪帯電の防止など様々な作用を確認している。
「ポリリジン10」は、酸化染毛剤による染毛に対して、濃染化や色持ち向上のデータも取得しているが、今回新たな研究成果として、カラートリートメントなどに汎用される塩基性染料の染色効果を高め、色持ちを改善する効果を見出した。塩基性染料は、酸化染料と比べて取り扱いしやすいが、染毛後の洗浄により色落ちしやすいことが知られている。
同社は、ブリーチ処理毛を塩基性染料で染毛後、ポリリジン10により処理した後、洗髪による色落ちの程度を観察した。洗髪前のポリリジン10処理により、色落ちを抑制することが認められた(図2)。ポリリジン10を後処理剤で使用することでヘアカラー施術の品質向上が期待される。
そのほか、毛髪成分であるケラチン由来のヘアケア原料では、髪を速く乾かす「速乾作用」のデータを取得してタイパ(タイムパフォーマンス)訴求のヘアケア製品の開発をサポートしている。
モニター試験では、タオルドライ後の髪に、羊毛由来高分子ケラチン「プロティキュートCガンマ12」とカシミヤ毛由来中分しケラチン「カシミヤコート」をそれぞれ1%ずつ配合したヘアミストで処理した後でドライヤー乾燥を行い、その乾燥時間を測定した。2種のケラチン配合ミストは、ブランクのミストより毛髪の乾燥時間を20%短縮することが認められた(図3)。
この記事はC&T 2024年12月16日号 30ページ 掲載
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