カンタンに言うと
1956年創業のヒノキ新薬は、明確な論理性と科学性の裏付けのあるものづくりと販売姿勢を信条に、優れた薬効と高い安全性で知られるヒノキチオールを配合した全品医薬部外品の基礎美容料「ヒノキ肌粧品」を展開している。
同社の生産拠点である「IDF」では、研究・開発・製造を一体化した外部委託によらない完全自社生産体制のもと、妥協なき肌粧品の機能性と安全性を追求し、常に最良を目指している。
「ものづくりの日本らしさ」について、阿部武彦社長に忌憚のない意見を伺った。
――まずは、現在の日本の小売市場をどのように捉えていますか。
阿部 古き良き地域の個人商店は、自分のお店が繁盛することはもとより、隣近所のお店や商店街全体の繁盛こそが自らの永続性につながるという「三方良し」の考え方が根付いていた。
しかし、戦後の日本では競争して売り勝てばいいという勝ち残り商法のアメリカンマーケティングが参入し、大店法(大規模小売店舗法)の撤廃もあり、全国各地で大型店舗が乱立して地域の小売店が淘汰されてしまった。隣近所のお店を叩き潰してまで戦前から続くような老舗のお店が失われてしまう売り方は、果たして日本らしい商売といえるのだろうか。
日本が戦後多くを学んだのが、国土が同規模のヨーロッパではなく、金鉱や農場経営などで一攫千金を狙うという大規模な発想を基本とするアメリカでも歴史が浅い開発地域の西海岸だった。
日本と国土が全く異なり、儲けたらもう一儲けするためにラスベガスでカジノに興じるといったアメリカ西海岸の考え方を、未だに日本政府は真似をしようとカジノの誘致に勤しんでいることが甚だ残念でならない。そんなことにお金を投じるならば、日本らしい地域の小売店を維持・発展させるために、個人で経営されているお店の相続税を優遇すべきではないか。
長年ご商売をして利益を上げ、それをしっかりと税金として国に納めてきた個人のお店に対し、国はそうしたことを全く考慮せずに個人相続として高額な相続税率を課している。これによって、跡を継ぐ人が商売を辞めてサラリーマンになり、地域商店街の衰退とともにコンビニエンスストアが幅を利かせる時代になってしまった。
アメリカ一辺倒でコンビニばかりが世の中に溢れるようになってしまった中で、日本らしい地域社会に根差した伝統的な商店街文化を今後どうやって残していくかいうことが、日本らしいものづくりを語るうえで1つの大きなポイントだろう。
そして、日本のものづくり、あるいはもの売りとは何かを考えた時、例えば刀を機械で鍛錬した物と刀鍛冶が手間暇をかけて打ち磨いて研いだ物を比べると、似たようなものはできるかもしれないが、最後の切れ味や丈夫さは自ずと違ってくるはずで、売る側にしても江戸の庶民を救うためにみかん船を出した逸話がある紀伊国屋文左衛門をはじめとして、昔の日本は商売人にも魂があったように思う。
このように、売る側と作る側それぞれに魂があるかということも、日本らしさという点において非常に重要なポイントではないだろうか。
――1956年に発売された世界初のピールオフ・タイプのパック「サンリョウパック」からスタートした貴社のものづくりについて、改めて振り返っていただけますか。
阿部 創業品である「サンリョウパック」のネーミングは、「人に良し、自分に良し、社会に良し」という三良主義の理念が由来で、使い手や売り手の立場になって良い商品を提供することが、ものづくりを行う企業のあるべき姿だという思いが込められている。
ものづくりはストーリーが大切で、新しい千円札の肖像に選ばれた北里柴三郎に代表されるように、日本はこれまで医学や薬学などの技術で発展してきた国である。だからこそ、日本のものづくりはイメージではなく、エビデンスのあるものづくりに徹するべきだ。
当社は創業以来、明確な論理性と科学性の裏付けのあるものづくりを追求し続けてきた。1936年に野副鐵男博士が発見し、優れた薬効と高い安全性で広く知られるヒノキチオールを今もなお「ヒノキ肌粧品」の全品に配合し、科学的な構造や効果をもとにして名付けた商品が多い。
ヒノキ肌粧品のものづくりとして、むやみやたらに商品を増やすのではなく、この商品が最も良いと思って信じて作ったものを上回るものができた時に、従来品の製造・販売を辞めて新しい商品をご提供している。
こうしたエビデンスのある商品を、いかに正しくお客様に使っていただけるかも非常に重要だ。そのため、当社では正しい皮膚科学と製品知識を学んだ美容指導職(BCI)が、科学的根拠に基づいて論理的にヒノキ肌粧品をお客様に説明している。ヒノキ肌粧品は何百種類も商品数があるわけではなく、限られた品目だからこそBCIが配合成分から化学構造式に至るまで商品知識を習得することができ、それをしっかりとお客様に説明できている自負がある。
発見から90年近くが経つヒノキチオールだが、未だに新しい可能性や活かし方が生み出され、改めて科学は陳腐化しないものだと実感している。エビデンスのあるものづくりという基本姿勢は今後も不変で、科学的根拠に基づいて肌から健康にアプローチできるような商品を提供していきたい。
この記事は週刊粧業 2025年1月1日号 32ページ 掲載
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