資生堂、シミがシミを呼ぶ特有の細胞老化現象を解明

粧業日報 2025年1月20日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 世界初、光学リアルタイム解析法FLIMの応用で実現
資生堂、シミがシミを呼ぶ特有の細胞老化現象を解明

 資生堂は、シミ研究の常識を覆すような革新的なアプローチで、シミの悪化メカニズムを解明した。生きたヒトの皮ふをリアルタイムで観察できるFLIMを用いてシミ部位の細胞代謝を評価する新手法を世界で初めて確立し、これまで観察が難しかったシミがどのように悪化していくかというプロセスを時間軸で捉えることに成功するとともに、シミの悪化に対応する独自のトリプル薬剤を開発した。

 同社は100年を超える肌研究と先進のシミ研究から、シミを解き明かすには皮ふ内部構造の観察が重要であると考え、シミでのメラニンの蓄積具合や異常な毛細血管の形成、メラニンの過剰生成を促す黒化スパイラルや慢性微弱炎症といったシミ特有の要因を突き止め、ソリューションを開発してきた。一方で、こうしたシミ特有の要因に結びつく肌内部のダイナミックな変化を実際の皮ふと同様の環境において細胞レベルでとらえる必要があることがわかってきた。

 しかしながら、生きたシミ内部を細胞レベルで、かつリアルタイムで解析することは困難だった。シミの根本解決のためには、シミの一生に着目し、皮ふ細胞の一生で起こっている活動状態、すなわち細胞内の代謝変化としてとらえる必要があった。そこで今回は、FLIMを用いて生きた皮ふを観察する新手法を確立し、世界で初めてシミにおけるミトコンドリア代謝を観察して、その代謝状態を検証することに挑戦した。

 FLIMを用いた解析によって、生きたヒトの皮ふのシミ部位では、非シミ部位に比べて表皮細胞内のミトコンドリア代謝が低下していることがわかった。また、過剰なメラニン蓄積が、このミトコンドリア代謝の低下を起こすことを確認し、さらに細胞老化も引き起こすことを明らかにした。シミ部位では、メラニンの蓄積によってミトコンドリア代謝が低下し、細胞老化が生じることでシミが悪化すると考えられ、いわばシミがシミを呼ぶ悪化根源があることを明らかにした。

 ヒトの皮ふで6週間の連用塗布を行った結果、同社独自のトリプル薬剤を配合した基剤において、シミにおけるミトコンドリア代謝が高まることを見出した。細胞老化の主要な要因の1つであるミトコンドリア活性低下を抑えるとともに、老化した細胞から分泌され、さらに細胞老化を悪化させるSASP因子の1つであるGROαを抑制することを突き止めた。

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