ミンテルジャパン、「ディシジョンメイキング」の差を縮めることがグローバルでのプレゼンス向上の鍵に

週刊粧業 2025年1月13日号 2ページ

カンタンに言うと

  • 「スキニフィケーション」の概念に広がり、ストーリー構築から落とし込みが課題
  • ――日本の化粧品市場の動向をジャパンレポートとして発信されておられますが、ここ数年の日本市場の特徴的な傾向としてどのようなものがあるでしょうか。
  • ――クリーンビューティーやサステナブル志向などのグローバルトレンドの中において、日本の化粧品メーカーはどのような存在であるとお感じでしょうか。一方で、グローバルからみた日本の化粧品の課題についてはどのようにお考えでしょうか。
  • 新AIツールで商品開発を強力に支援、注目市場は成長が期待される「インド」
  • ――今後、競争がさらに激しくなるグローバル市場において、日本の化粧品がプレゼンスを高めていく鍵はどこにあるとお考えでしょうか。
  • ――海外進出支援において、貴社ではどのようなサービスを提供していますか。
  • ――最後に、化粧品カテゴリーにおけるグローバルでの注目市場をお聞かせください。
ミンテルジャパン、「ディシジョンメイキング」の差を縮めることがグローバルでのプレゼンス向上の鍵に

 ミンテルジャパンは、ロンドン本社を含め13カ国にオフィスを構える市場調査会社「Mintel Group」の日本法人で、専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っている。その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあり、日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開している。

 「ミンテルジャパンレポート」は、日本市場と日本の消費者行動を促進する要因について分析する市場レポートで、日本人アナリストが解説するグローバルトレンドと日本で独自に行った消費者調査から日本市場におけるインサイトとビジネスチャンスを探ることが可能だ。「ミンテル世界新商品データベース(GNPD)」は、ミンテルの調査員が世界86カ国の日用消費財を収集し、毎月4万点近くの新商品を掲載している。

 今回はミンテルジャパンレポートとミンテルGNPDの各データをもとに、ミンテルジャパンの代表を務める藤田大輔カントリーマネージャーに、ここ数年の日本市場の特徴的な傾向と、グローバルにおける日本の化粧品メーカーの存在感、海外で今後プレゼンスを高めていくための鍵などについて話を伺った。

「スキニフィケーション」の概念に広がり、
ストーリー構築から落とし込みが課題

 ――日本の化粧品市場の動向をジャパンレポートとして発信されておられますが、ここ数年の日本市場の特徴的な傾向としてどのようなものがあるでしょうか。

 藤田 日本の美容・化粧品業界においては近年、フェイスケアやスキンケアのような効果や成分、あるいはコンセプトや理論を他のカテゴリーでも取り入れる「スキニフィケーション」がトレンドとなっている。

 そうした背景として、消費者側で科学的な根拠のある成分に注目するようになったことや、メーカー側でエシカルを訴求した商品が増加していることが考えられる。

 消費者側では、人と地球にやさしく安全性に配慮したクリーンビューティーへの意識と、支払った価格に対する効果を欲する意識の高まりが顕著にみられる。メークアップ前のスキンケアステップを削減できることから、特にファンデーションではスキニフィケーションを取り入れることが注目されている。

 美容・化粧品の世界的な傾向として倫理的な観点から動物や環境、社会に配慮したエシカル訴求の新商品が増加している。世界で発売される主要な新商品をカバーするミンテルGNPDのデータをみると、世界で10位の「動物実験無し」は日本では47位と低い順位だが、ミンテルジャパンレポート『フェイシャルスキンケアトレンド―2023年』で行った日本での消費者調査によると、「動物虐待への配慮」「環境配慮」「社会倫理への配慮」の3つのエシカルな項目の何れかに賛同を示した消費者は全体の62%と高い割合になっており、日本においてもエシカル訴求の支持が広がっていることがわかる。

 日本は経団連やメディアに煽られてSDGsが独り歩きし、日本のメーカーも消費者もそこに対応しなければならないという意識が高まったことがそうした背景にあると考えられる。

 ただし、エシカル訴求をすれば商品が売れるかというのは別の話だ。Z世代は一般的に環境配慮への意識が高いと言われているが、例えば食品・飲料のカテゴリーにおいても、結局は安くて美味しい商品の方を求める傾向にある。

 全体的な流れから見て、一定規模の大きさの企業がこれから先、エシカル訴求に配慮しない商品を展開することはまずあり得ないが、各企業それぞれのブランドにおいてターゲットとしている層のインサイトをしっかりと見極めていく必要がある。

 日本の美容・化粧品カテゴリーでは、詰め替えをはじめとするサステナブル訴求がベースにあった上で、別の訴求をプラスする方向へとよりシフトしていくとみている。

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