週刊粧業 2025年5月12日号 9ページ
カンタンに言うと
NISSHA(本社=京都府)は、「CITE JAPAN 2025」に出展し、溶解性マイクロニードルパッチの化粧品への応用技術を展示・紹介する。また、最新の研究成果も報告する。就寝中での溶解性マイクロニードルパッチの使用により「角層への浸透性」や「シワ・シミの改善」に関する新データを取得したという。
ブース内では「睡眠の質」に着目した香り付きタイプ「“香る”マイクロニードル」のコーナーも設ける。香り付きタイプは、就寝美容にアプローチするマイクロニードルとして紹介を進めていく。
NISSHAは、化粧品用DDS(ドラッグデリバリーシステム)として注目を集める溶解性マイクロニードルパッチの開発から製造までの一貫生産体制を整え、好みの美容成分を配合するマイクロニードルOEM事業を展開している。
溶解性マイクロニードルパッチは、有効成分を乾燥固化して作られた多数の微細な針(ニードル)が皮膚内で溶解することにより、有効成分を皮膚内の届けたいところに直接的に供給する。
同社は、針のパフォーマンス最大化と肌への負担軽減の両立を目指し、独自の製法を確立してマイクロニードルを成形している。
特に、針形状と製法に大きな特徴がある。針形状(特許第6023752号)は、円錐台形で先端が尖っておらず、独自の製法により成型する針のパフォーマンスを最も引き出すことができる。先端をフラットにすることで折れにくく、触れる面積を広くすることで角層への負担を軽減することを確認している。針は角層を越えない設計で、肌へのやさしさを考えた形状であることを意味する「Softip」として商標登録を行っている。
土台部分にはヒアルロン酸と美容成分を使用し、針が角層内に届くとヒアルロン酸が浸透し、貼ってから5~6時間で角層内に溶解する設計になっている。土台部分がパック機能を持ち、美容成分を皮膚内へ長時間閉じ込め、その効果を引き出す。
マイクロニードルパッチは、寝ている間に角層内へ美容効果を届けるという効率性や合理性が支持され、今までにない、スキンケアの新たなカテゴリーとして世界的に注目が集まっている。
マイクロニードルの市場性について、同社は「日本国内だけでなく、海外からの問い合わせも増えている」と語る。グローバル対応の一環で、中身の成分だけでなく、環境に配慮したサステナブルな包装を使用したマイクロニードルパッチの提案も行っている。ブリスターパックを使用しない包装で、中身の品質を維持したまま、プラスチックの使用量を従来比約50%削減することができるという。
同社は、マイクロニードルの新製品として、就寝美容を促す「“香る”マイクロニードルパッチ」を開発し、今年より本格的に紹介をはじめた。
近年、「睡眠の質」に着目したスリープテック・睡眠サポート市場が活況で、化粧品業界においても注目を集めている。
睡眠中は細胞の再生と修復が最も効率的に行われる時間帯で、特に深いノンレム睡眠に入ると成長ホルモンやメラトニンの分泌量が増加し、肌のターンオーバーを助ける働きがある。日中に紫外線などで受けた肌へのダメージやストレスを修復・回復する時間として睡眠が重視され、寝ている間に美容成分を長時間、デリバリーすることができるマイクロニードルの特徴が評価されている。
「“香る”マイクロニードルパッチ」は、マイクロニードルパッチに睡眠導入効果があるとされる香りをまとわせている。香りは、睡眠導入効果がある「ラベンダー」「ゼラニウム」「ローズマリー」の3種を採用した。それぞれ香りの強さや経時での変化、実使用での官能評価、効果評価を実施している。ラベンダーオイルを使用した「ラベンダー・マイクロニードルパッチ」では、ピッツバーグ睡眠質問票を用いた評価で、睡眠の質に関する新たなエビデンスを取得した。
「これまでは『就寝美容』のコンセプト提案の域を出ていなかったが、香りによる睡眠の質を改善するエビデンスが取れたことで、美容効果に加え、睡眠の質の改善にもアプローチするマイクロニードルパッチとして化粧品開発におけるコンセプト設計をサポートしていきたい」(同社)
また、ウェルビーイング市場の活況にともない、化粧品メーカーも化粧品だけでなく、健康美容食品なども提案して内外美容ビジネスに参入している。ウェルビーイング市場へ事業領域を広げる化粧品メーカーに対し、NISSHAグループの強みを活かした提案サポートを行っていく。医薬品分野で錠剤・タブレットやフィルム製剤などを開発・製造するNISSHAゾンネボード製薬(本社=東京)を通じて、サプリメントなどの開発技術力なども紹介していく予定だ。
関連キーワード
この記事は週刊粧業 2025年5月12日号 9ページ 掲載
■特集/CITE JAPAN 2025~国内外405社が集結◎TOA/トキワ~共同出展でグループ連携強化、研究開発の相互補完を促進◎日本色材工業研究所~「最新技術が集まった科学館」をテーマに進化した技術をアピール◎MycoMagic~霊芝研究のパイオニア、酵母菌由来の霊芝エクソソーム原料を開発◎ホシケミカルズ~美容業界の「今」を体現した最新のOEM/ODM処方を紹介◎東洋ビューティ~フェムケ...
バラ売り
【週刊粧業】2025年ファブリックケアの最新動向
バラ売り
【週刊粧業】証券アナリスト佐藤和佳子氏に聞く、2025年の化粧品業界動向
バラ売り
【週刊粧業】花王KATE、アジア圏を中心とする新たなグローバル成長戦略を始動
バラ売り
【週刊粧業】資生堂、SHISEIDO 25AW 新製品発表会を開催
紙面を探す
紙面を探す
レポートを探す
無料でダウンロード
カタログを探す
無料で見る
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、日用品、医薬品、美容業、装粧品、エステティック等を中心とした生産・流通産業界の総合専門情報紙。
季刊/年4回
化粧品、日用品、アクセサリーなどの業界別の市場動向をはじめ、戦略、流通、経営、マーケティングを扱う情報専門誌。
週刊/毎週月曜日発行
化粧品、トイレタリー、石鹸、歯磨、日用品に関する情報の速報版。業界のエグゼクティブ必読の情報紙。
週刊/毎週月曜日発行
昭和33年に創刊された、わが国初の訪問販売化粧品業界の専門情報紙。