粧業日報 2025年5月19日号 5ページ
カンタンに言うと
牛乳石鹼共進社総合研究所は、固形石けんの製造過程で起こる結晶構造(配列)の変化に関する研究で、機械処理以外に石けんに含まれる水分量が石けんの結晶構造に重要な影響を及ぼすことを明らかにした。
この研究成果については、2025年3月26日~29日に開催された日本化学会第105春季年会にて「石けんの多形形成における含水率の影響」というタイトルでポスター発表を行った。今回の成果を今後の製品開発に応用していくという。
同社は固形石けんの品質向上に向けた研究を継続して進めている。直近の研究成果として、石けんの製造過程の違いによって均一性に違いが生じ、その均一性の違いが石けんの物理的性質に重要な影響を及ぼすことを明らかにした。また、均一性の可視化手法としてレーザーラマン顕微鏡を用いた方法も見出している。
今回の研究は、石けんの含水率が結晶転移に影響を与えることを確認した。
固形石けんの結晶にはいくつかの種類が存在し、結晶の種類によって泡立ちの良さや水に触れた際の膨潤軟化のしやすさなど性質に違いが生じる。市販の石けんは、主にω相とβ相の2タイプの結晶構造があり、結晶構造の違いは石けんの作り方が大きく影響している。型に流してゆっくり冷やして固める枠練り製法による「枠塗石けん」はω相に、石けんペレットを機械で練り混ぜてから棒状に成型する機械練り製法で作った「機械練り石けん」はβ相になるとされている。
ところが、「機械練り石けん」では、練る力(剪断)などによってω相からβ相へと結晶構造が変化する結晶転移があり、石けんの「泡立ち」や「ふやけやすさ」などの使い心地に大きく関わっている。機械練り製法の条件によっては、結晶転移がうまく進まず、ωとβが中途半端に混ざった状態で止まってしまうことがある。
研究では、結晶転移に影響を与える要因の1つとして「石けんの含水率」に着目し、含水率を変えて剪断処理を行うことで、結晶転移への影響を調べた。
含水率の低い石けんでは、結晶転移はほとんど見られなかった。一方、含水率が高い石けんでは、そのまま乾燥させた場合にはω相となり、剪断処理を加えることでβ相へと転移することが確認された。
高含水率の石けんでは、剪断処理の有無によって最終的な結晶構造が変わることから、結晶構造の転移に必要なエネルギーが低くなる、あるいは剪断処理の影響が伝わりやすくなることで、β相への変化が起こりやすくなる可能性が考えられる。
この記事は粧業日報 2025年5月19日号 5ページ 掲載
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