粧業日報 2025年6月16日号 4ページ
カンタンに言うと
資生堂は、肌の保湿に重要な役割を果たす成分である「天然保湿因子」を角層へ効率的に届け、留める革新的な「Reservoir in Skin」技術を開発した。天然保湿因子は角層に浸透しにくく、日常の洗浄などによって簡単に流出してしまうという特徴があるが、この技術により、天然保湿因子の1つであるPCAを角層に届けて留めることに成功、保湿効果の向上や肌の滑らかさの改善が確認された。
今回の技術は、同社の強みである有用成分を効率的に肌に届けるDDS(ドラックデリバリーシステム)技術をベースに、うるおい成分が働く場所である角層にも着目して開発された。保湿成分を肌へ適切に届けることにより、スキンケアに新たな価値をもたらす。今後、研究成果を活用し、肌本来の力・肌に存在する成分による肌状態の改善といった、すこやかで美しい肌へと導くソリューションの提供を目指す。
同社は、有用成分の開発に加えて、成分が持つ効果を最大限発揮させるための研究として、複雑で多岐にわたる成分の混合・製剤化に挑戦し続けている。これまで、有用成分を効率的に浸透させるための技術として、固体の物質を液体へと形状変化させる技術を活用した導入促進成分や、高分子の体積をコントロールする技術などの開発を行ってきた。
今回は成分浸透の向上だけでなく、効果を発揮する場所にしっかりと留めることまでも実現するDDS技術に着目した。
ターゲットとした天然保湿因子は、肌表面の角層に本来存在し、肌のうるおいを維持するために必要不可欠な成分だが、加齢変化で失われるのみならず、洗顔などの日常生活により簡単に肌から流出してしまう。また、これを外から化粧品で補充しても、効果を発揮する角層に留まりにくいという課題があった。そこで今回は、有用成分が働く場所の量を高めることが効果発現に重要と捉え、角層に適切に送り届け、留める技術の開発を進めた。
研究では、天然保湿因子を様々な成分と組み合わせ、検証を行った結果、特定の両親媒性物質と、天然保湿因子の一種ピロリドンカルボン酸 (PCA)を組み合わせることにより、PCAが角層に多く留まることを発見した。また、PCA単独の場合と比較し、角層を含む表皮層のPCAの浸透量が増加していることも突き止めた。
また、皮ふ内成分分布可視化技術を用い検証を行った結果、この技術により、PCA単独に比べ、両親媒性物質とPCAの複合体を塗布した場合の方が、角層細胞に多くPCAが存在することがわかった。複合体を塗布した場合、角層細胞の凹凸が低減し、肌がなめらかになることも確認された。
今後は、PCAに着目した化粧品原料の開発を行い、製品開発に応用することで、肌の保湿機能を高めることが期待される。
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この記事は粧業日報 2025年6月16日号 4ページ 掲載
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