コーセーは、2012年を初年度とする中期経営計画で、伸びると期待される分野とカテゴリーに積極的に経営資源を投入する「攻めの改革」への取り組みを推進している。
国内では、通販子会社「プロビジョン」の育成や、スティーブンノルブランドで「ヘアサロン」ルートの開拓、男性化粧品「ポールスチュアート」の投入に取り組み、海外についてもイタリアで「コスメデコルテ」の販売を開始するなど、攻めの姿勢を鮮明にしている。
小林一俊社長に新年度の課題と中期計画の考え方についてインタビューした。
「他にはない高い付加価値の追求」が
どの事業にも共通する基本戦略に
――新中期経営計画2年目以降の基本課題についてお聞かせください。
小林 国内化粧品市場は、全体を見ると市場規模は横ばいであり成熟期に差しかかっていますが、新規参入も後を絶たず、販路としてもネットが急速に拡大するなど、あらゆる面で大きく変化しています。
これまでもブランドづくりにおいて「時代に合わせ変えるべきことと、変えてはならない要素の峻別が大切だ」と言ってきましたが、これと同じことが化粧品事業全体についても言え、我々既存メーカーにとっても、「美白や老化防止などの高効能商品分野における技術的蓄積、メイクアップ化粧品の発色の良さや官能の良さ」や「嗜好性の高い非コモディティ領域におけるモノづくり、カウンセリングやお手入れアドバイス等の接客を通じた満足の提供」などこれまでの蓄積が優位性をもつ要素と、これまでの戦略が通用せず、むしろ足かせになる要素を峻別し、きちんと対処していく必要性がますます高まっています。
市場動向としては、今後も高い満足や効能効果を提供する高級品と、廉価な化粧品に対するニーズという二極化は、ある意味では世界的な市場傾向に近づくという意味でも進展するかもしれません。しかし我々としては、例えば、男性市場やシニア世代など、新たな需要を喚起し、市場を創造できる分野は、まだまだあると考えています。
我々が発想を変えるべきポイントは、「これまでの商習慣や業界の常識にとらわれずに、いかに時代の変化に合わせた価値提供ができるか」「国内、海外と分けて考えずに、どれだけ『グローバル視点』でものを考えることができるか」「消費行動に大きく影響を与えている『ネット』をコミュニケーション手段としてどう活用するか」などが挙げられます。
いずれにしても、“モノ”が満たされた現代においては、生活の質を高める“コト”の提供が消費の中心になっていきます。依然としてデフレを背景に化粧品の単価は低下傾向にありますが、消費者は必ずしも価格の安さそのものを求めているわけではないため、あくまでも「コストパフォーマンスの高さ」すなわち、提供価値と価格のバランスが大切であると考えています。
グローバル視点からも、相対的にはコスト競争力の重要性は今後もますます高まるでしょうし、我々にとっても「適切なコストダウン」は永遠のテーマです。しかしそれは、あくまでもお客さまへの提供価値を相対的に高めるために取り組んでいるということを見失ってはなりません。
これからも我々にとっては、「他にはない高い付加価値の追求」ということが、我々の、どの事業にも共通する基本的な戦略になります。これからも、他にはない付加価値の提供を通じ、お客さまに“驚き”や“感動”をお届けできる存在であり続けたいと思います。
経営を取り巻く環境の厳しさや不透明感に決して怯むことなく、2013年もますます「攻め」の姿勢を明確にしながら、“正しいリスク”をとって果敢にチャレンジしていきたいと考えています。
【その他の質問】
◎チェーンドラッグストアが大幅伸長、下期からは専門店も好調に推移
――昨年を振り返って、国内化粧品事業のカテゴリー別の状況はいかがでしたか。
――チャネル別の動向はいかがですか。
――スキンケア重視、中価格帯ブランド重視の姿勢が鮮明になっておりますが、その狙いについて教えてください。
◎イタリアを皮切りに欧州で「コスメデコルテ」の販売開始
――今期は「絆」をテーマに、攻めの改革への移行を図るべく、様々な施策に取り組みました。まず、「成長ドライバーへの注力」はいかがですか。
――「経営基盤の強化」についてはいかがですか。
――新中期経営計画では、「原価低減」「人的生産性向上」を打ち出されておりますが、その進捗状況を教えてください。
◎ネット通販は、売上拡大だけでなく関係会社との連携やシナジーも追求
――今後の成長にとって欠かせない通販事業の進捗、展望についてはいかがですか。
【PDFダウンロード】「コーセー小林一俊社長インタビュー」はこちら
この記事は週刊粧業 掲載
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