週刊粧業 2014年7月28日号 4ページ
フェイスラボ(本社=静岡県袋井市)は、化粧品(医薬部外品)と健康食品を手掛けるOEMメーカーとして独自のポジションを構築し、近年は得意とするスキンケア領域で業績を伸ばしている。メークについても研究開発を進めており、関連会社のメーク製造設備を活用することで受注に対応している。
試作依頼への迅速な対応に定評がある中、地道な営業活動を高いレベルで継続できていることから、2014年9月期は過去最高の売上・利益を計上する見込みだ。
朝比奈謙太社長に現在の取り組みや今後の展望などについて話を伺った。
今期は過去最高の売上・利益の達成へ
――今期の業績について教えてください。
朝比奈 これまで約3分の2が経過したが、増収増益で推移している。今後も順調な受注獲得が見込まれるため、過去最高の売上・利益を達成できる見通しだ。
その要因として、地道な営業努力を高いレベルで継続していることや、大手メーカーによる生産拠点の集約が進んだことで受注が増加していることが挙げられる。
現在は、こうした受注増に対応するため、工場の改築を進めており、生産ラインを増設するなどして対応している。
――今後もこの流れは続きそうですか。
朝比奈 「餅は餅屋」という言葉があるが、何事もそれぞれの専門家がいるので、そこに任せるのが最善だ。本舗メーカーは、商品企画やマーケティングに特化することで差別化を図っていく方向に進むことが予想されるため、今後も生産拠点の集約は進んでいくだろう。我々は、その部分をしっかりと取り込んでいきたい。
――業績好調の要因について、どのように分析していますか。
朝比奈 創業以来、「心技一体」を企業理念に、何が求められているかを常に意識し、必要とされる存在になり続けていくための努力を続けてきた。
そして単に、提案書どおりの開発をするのではなく、取引先企業の「心」を理解して、まだ姿見えぬ製品をイメージに近づけるべく、「技」の習得にも努めてきた。
近年は、取引先企業のニーズも多様化しているため、どの部分が支持されているかを特定することは難しいが、試作品の出来栄えやコストメリット、工場や営業の取り組み姿勢、アフターフォロー体制など、様々な観点で評価をいただけるようになってきた。
お客様は、委託先を一つの要素ではなく、複数の要素を勘案して選定すると考えており、引き続き、「品質」「コスト」「納期」といったOEMの基本をしっかりと押さえつつ、「サービス」レベルのさらなる向上を図っていく方針だ。
企業理念の浸透に向け、
独自の教育制度の構築めざす
――昨年11月より中国BtoC大手「天猫」の、海外製品を専門に扱うモールに出店していますね。
朝比奈 国内においては、OEM企業が熾烈な競争を繰り広げており、「品質」「コスト」「納期」以外の独自性を打ち出していくことが不可欠と考えていた。
取引先が求めているのは「流通」であり、海外における販路支援を手掛けたかった。
中国では、インターネット経由で約16兆円もの取引があると言われており、その市場を何とか攻略できないかと考えていた時、中国国内企業も出展する「天猫モール」よりもユーザーの信頼度が高い「天猫国際」の存在を知った。
当社の天猫プラットフォームを利用すれば、多額の費用や煩雑な契約手続きといった種々のリスクを負うことなく中国国内に製品を流通させることができるようになる。
現在は、「天猫国際」の広告表示システムに不具合が起きているため、広告を打てていない状態だが、システムが復旧した後は、積極的に宣伝広告を行い、自社サイトの認知度を高めていく。
――人材の育成にも積極的ですね。
朝比奈 当社としてどのような人材が必要なのかを管理職クラスの社員と議論している。
企業理念「心技一体」を推し進めることができる人物に相応しい資質を抽出し、理想的な人物像をつくっていく作業を通じて、管理職社員が自らの部下にそのことをきちんと語り、部下もそれをしっかり認識して業務を行う仕組みを浸透させていきたいと考えている。
それがきっちり定着した後は、外部のコンサルタントの協力を仰ぎつつ、行動規範や自社オリジナルの教育プログラムを構築する予定だ。
社員数が200名近くになってくると、なかなか目が行き届かなくなるので、しっかりと企業理念が社員一人ひとりに浸透するような仕組みづくりに本格的に取り組んでいく。
国内は増加する受注への対応強化、
海外では新たな収益機会の創出を
――今後の方針についてお聞かせください。
朝比奈 国内では増加傾向にある受注を確実に取り込みつつ、中国では新たな収益機会を取引先企業に提供することにより、取引先企業とのさらなるWin-Win関係を構築していく。
具体的には、今年から来年にかけて、工場(静岡県袋井市)の改築、増築を進めていく。
現在の延床面積は5796㎡だが、2000㎡程度増える見込みだ。生産量の増加に対応した措置で、倉庫と生産ラインの拡充を目的としている。
海外については、取引先企業の中国での販売支援事業を軌道に乗せ、収益を還元できる形に一刻も早く持っていきたい。
この記事は週刊粧業 2014年7月28日号 4ページ 掲載
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