「歯と口の健康週間」が今年も6月4日から10日まで全国的に展開される。
本週間の目的は、歯と口の健康に関する正しい知識を国民に対して普及啓発するとともに、歯科疾患の予防に関する適切な習慣の定着を図ることである。併せて、歯科疾患の早期発見、早期治療を徹底することにより、歯の寿命を延ばし、健康の保持増進に寄与することを目的としている。
歯の健康だけでなく、歯を含めた口腔全体の健康に意識を高めることにより「お口からの全身健康への貢献」を目指していくものであり、当工業会においても、会員各社とともに、歯ミガキについての正しい理解を助け、口腔保健の普及に役立つ種々の活動を行っている。
健康寿命に関して、昨年7月に発表された2015年の日本人の平均寿命は、男性が80.8歳、女性は87.1歳といずれも過去最高を更新し、日本は世界トップクラスの長寿国となった。その一方で、過去12年間を比較すると、健康寿命の延びは平均寿命の延びを下回っており、両者の差は若干広がる傾向にある。
健康寿命を延伸し、平均寿命との差を縮小することは、健康長寿社会を実現するための国の課題でもある。厚生労働省が提唱する健康日本21では、「歯と口腔の健康」分野における歯周病予防とう蝕予防による健康寿命の延伸が分野目標として設定されている。
それは、全世代にわたり、口腔衛生意識を一層高め、日常生活の中に浸透させていくことが、成人病などの全身疾患の予防につながり、国民の健康増進・健康寿命の延伸に貢献するものと考えられているからである。
さて、当工業会でまとめた出荷統計によると、歯ミガキの販売金額は、この5年間で伸長率が31%増加し、16年は1307億円となった。
この要因としては、前述の健康日本21に代表される国の施策の充実や、歯科医・歯科衛生士を中心としたプロフェッショナルによるオーラルケアの重要性の啓発などの寄与があるとともに、生活者の側にも、将来の自分や家族の健康に対する身近な取り組みとして、口腔状況やライフステージ毎のニーズに合ったオーラルケア製品を選ぶというセルフケア意識の高まりもあると考えられる。
これは即ち「いつまでも元気で楽しく人生を過ごしていきたい」というニーズを満たすためには、「口腔健康」が「全身の健康」を保つ上でとても重要であるということが、専門家のみならず、国民全体として広く認識されてきた結果でもある。
当工業会では、行政の施策や国民運動に支えられ、今後も国民の健康づくりに貢献すべく、今年も「歯と口の健康週間」の意義と目的を周知するための官民一体となった広報活動を展開していく。
その一環として、例年通り、厚生労働省、文部科学省、日本歯科医師会などと協力した「歯と口の健康啓発ポスター」の制作・配布をはじめ、標語募集キャンペーンなどを幅広く展開し、本週間の一層の盛り上げを図っていく。