化粧品に特化した自動包装用ラミネートフィルム専門商社の進洋では、今年2月に開催された「JAPAN PACK 2022(日本包装産業展)」において、フィルムメーカー・コンバーター16社とSDGsをテーマに選りすぐってのトークショー「Package Special Talk 4th(友と作る 共に創る)」をブース内で実施した。
なお、トークショーの模様は全て、同社のホームページ(特設ページ)内で閲覧できる。
今回のトークショーでは、「環境配慮型包装材」を中心に、植物由来素材を最大50%配合したシュリンクフィルムや環境配慮型のバイオマスシュリンクフィルムといった新たな包装材や技術について、メーカー・コンバーター各社が披露した。
このうち、進洋では、酸素・水蒸気の高いバリア性と遮光性を兼ね備えた脱アルミ箔フィルム「エコバリア」シリーズ(HV・HC・MM・HWの全4種)を中心に、バイオマスフィルムやリサイクルフィルム、紙構成フィルムなどの環境配慮型包材を提案した。
エコバリアシリーズHVは、ハイバリア透明蒸着フィルムとハイバリアアルミ蒸着フィルムを積層化したバリア性と遮光性に優れたフィルムだ。アルミ蒸着膜の厚さはおよそ400~600オングストローム(1オングストローム=0.1ナノメートル)で、エネルギーコストの高いアルミ箔の使用を極力抑えている。
そのため、一般的なアルミ構成フィルムと比べて熱伝導が良好で、充填の際には低温でのヒートシールが可能で、シワが出にくく、パウチの仕上がりがキレイになるといったメリットもある。
「環境への取り組みは、企業としての経営姿勢が問われ、パッケージはその中でも心意気を表現するものとして最も重要なファクターであると捉えている。アルミニウムは、原料のボーキサイトから製錬する工程で膨大な量のエネルギーが使用され、環境への配慮という観点でいえば、アルミ箔を使用しない包材を検討していくべきだ。ヒートシールを行う際、アルミ箔がフィルム内に含まれていると熱が横に広がってしまうが、アルミ箔が含まれていなければストレートに熱が届くため、従来よりも低温でのシールが可能になる。アルミ箔の使用を抑えることで、アルミ箔の製造工程に加え、充填包装工程でのエネルギーを削減することにも寄与する。我々としては、こうした脱アルミ包材を環境配慮型包材の中でも特に実効性のあるものとして自信を持ってお薦めしている」(石井聖一社長)
エコバリアHCは、内容物を視認することができる透明のハイバリアフィルムで、充填適正はHVと同様に良好で、酸素・水蒸気とも高いバリア性を誇る。
エコバリアMMは、シーラント層・バリア層・基材層の全層にPETフィルムを使用した、リサイクルのしやすいモノマテリアルフィルムだ。
エコバリアHWは、アルミ箔を使用していないのに全く光を通さない高い遮光性に加え、際立つ白さが特徴的だ。また、アルミを使用していないため、金属探知機を用いて内容物の異物混入が確認できる。
「エコバリアシリーズは4種類だが、細かなグレード・タイプに分類すると10種類のラインナップとなり、化粧品用でこれほど多くの脱アルミフィルムを取り扱っている商社は我々のみだと自負している。いずれも、酸素透過や水蒸気透過の減量率について、2年がかりの経時テストを行うなど、徹底した品質チェックを経て提案している」(石井社長)
環境配慮型包材ではこのほか、紙構成フィルムの受注が昨年から徐々に広がりをみせている。
紙構成フィルムでは、紙の種類(上質・純白・コート紙・未晒・レーヨン)による印刷の工夫と印刷方法の選定により、細かな文字の再現性が高いフィルムをはじめ、スタンディング・チャック付きなどの様々な製袋品への引き合いが高まっているという。