【週刊粧業選定】2010年化粧品・日用品業界10大ニュース

週刊粧業 2010年12月13日号 1ページ

【週刊粧業選定】2010年化粧品・日用品業界10大ニュース
景気低迷による所得減少により
セルフ市場では低価格化が進行
 
①低価格化粧品で競争が激化

 景気低迷による所得減少により、ドラッグストアを中心とするセルフ市場では低価格化が進行した。こうした流れに抗うことは難しく、かつては想像すらできなかった現象として、大手化粧品メーカーが低価格帯スキンケア市場に参入している。

 資生堂は「専科」を立ち上げ、カネボウ化粧品は「フレッシェル ザ・ベーシック」で対抗、コーセーも子会社コスメポートから「クリニティ アクティライズ」を投入した。

 これに対して、セルフ化粧品市場の先行メーカーの危機意識は強い。広告展開や店頭販促など版倍促進のノウハウにおいては、やはり大手が一枚も二枚も上手だからだ。先行メーカーの多くは、従来通りの販促策では太刀打ちできないという認識を共有している。

 ただ、大手化粧品メーカーの製品投入以降も、低価格帯市場では、既存ブランドが侵食されている状況ではないとの指摘があるように、現状ではブランド間でシェアを奪い合う動きまでには発展しておらず、新ブランドの投入により市場はむしろ活性化していると考えられる。

 それを裏付けるように、低価格帯を主戦場とするちふれ化粧品は、主力の「CHIFURE」ブランドのスキンケアカテゴリーが2010年4~9月は前年同期比で113%の出荷数量を記録。低価格スキンケアの代表的ブランド「肌研 (ハダラボ)」(ロート製薬)も、今年投入した敏感肌向け新シリーズ「肌研es」を含めて、今期もブランド全体が順調に推移しているという。

 今後ますます競争が激しくなっていく中、いかに売場の棚を確保し、生活者の支持を集めるにはどうすればいいのか――。“差別化”というキーワードが持つ意味が、より一層増してくるだろう。

 そうした中、男性化粧品最大手のマンダムが、強化方針として掲げている女性化粧品事業で「美・楽クリエーション」というキーワードを打ち出した。生活者のライフスタイルに寄り添い、既成概念にとらわれないアイデア商品で競合に立ち向かっていくという。

②化粧品出荷額が復調傾向示す

 経済産業省が発表した化粧品出荷統計によると、2010年9月の出荷金額は前年同月比3.7%増となった。6カ月連続のプラス成長となっている。個数は2.2%増なので単価も上昇傾向を示す。単価上昇を伴う成長は4カ月連続となっている。

 実際に大手メーカーの上期実績については、高価格帯分野において、「トワニー」「リサージ」(カネボウ化粧品)、「コスメデコルテ」(コーセー)、「アルビオン」といった有力ブランドが前年を上回るなど復調の動きを見せた。

 さらに、前述の低価格セルフ化粧品も大手メーカーの参入もあり活気づいている。そうした中にあって唯一、中価格帯化粧品のシェアが低下。今のところ高価格帯の復調による金額の伸びと低価格帯での数量の伸びに支えられ、前年を上回る数値で推移している。

 しかし、化粧品市場を中長期で見た場合には、高価格帯のシェアが上昇したとしても、中価格帯から低価格帯へのスイッチが多くなれば前年割れが起こってしまう。いつまでも低価格帯で数量が伸び続ける保証はどこにもないと言える。

 化粧品市場全体が持続的な成長を図っていくためには、中価格帯の復活が避けて通れない。現在の「復調傾向」を「復活」へと導くためには、人を介さないセルフ販売でも売れる魅力ある中価格帯化粧品の確立が不可欠だ。まずは低価格帯にシフトした人を取りこぼさないことを先行させる策が目立つ中にあって、一部のメーカーでは中価格帯復活への糸口を掴んでいる。今後、そうした動きがさらに広がることを期待したい。

③衣料用洗剤、液体が粉末を逆転

 2010年は、液体洗剤、中でも超コンパクト液体洗剤が市場を牽引。販売個数・金額とも前年実績を上回った。

 時に目立った動きとしては、2010年1~6月の液体洗剤市場が前年同期比32%増となり、衣料用洗剤の構成比で「液体」(49%)が「粉末」(45%)を逆転したことが挙げられる。その原動力となったのが超コンパクト液体洗剤で、この市場をリードする花王(アタックNeo)とライオン(トップNANOX)の両社の製品が出揃った1月20日からわずか半年あまりで、液体洗剤市場の約2割の構成比を占めるまでに拡大している(インテージSRI調査)という。まさに、衣料用洗剤カテゴリーにおける新たな時代の幕開けであり、エポックメーキングとも言うべき出来事であった。

 超コンパクト化は、単に重量が半分になって買い物が便利になったというより、「すすぎ1回」という価値を新たに加えたことが画期的だった。これにより、多くの生活者を巻き込んで地球環境保全について考えるきっかけを創り出せたことは、衣料用洗剤市場にとって活性化以上の効果をもたらしたのではないか。

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