化粧品容器の最新動向、完成品のイメージが湧く提案力に磨き

週刊粧業 2014年10月27日号 25ページ

カンタンに言うと

化粧品容器の最新動向、完成品のイメージが湧く提案力に磨き

 昨今では、異業種からの参入企業の増大に加え、既存メーカーによる有店舗販売から無店舗販売までを視野に入れた「オムニチャネル戦略」の進展にともない、ブランドメーカーが求める容器・パッケージのトレンドも変わりつつある。

 百貨店ブランドなどに多く見られる「シンプルで高級感のある容器」に一定の需要がある中、インターネットを介した販売やクチコミ評価などを意識したユニークな容器を採用するブランド・アイテムが増えている。

 そうしたニーズに対して、容器メーカー各社も印刷・加工技術を駆使し、表現性豊かな容器の開発・提案を強化している。

ブログ、SNSの利用率が高まり
共感性の高いデザインに熱視線

 海外へ進出する容器メーカーの社長は「そうした需要は国内に限った話ではない。グローバル化の進展により、海外でも見た目のユニークな容器デザインを求める傾向が強まっている」と述べ、こう続けた。

 「中身では『メイド・イン・ジャパン』の品質を求める企業は多いが、容器に関しては、一定の品質が担保されれば、生産国へのこだわりは薄い」

 業界内でも、日本にはないアイデアや技術を取り入れた輸入容器の品揃えを強化する企業が増えている。インターネットを中心とした通販市場の拡大により、見た目の差別化を訴求するブランドメーカーが増えてきたからだ。

 通販では、実際の商品を見て、手にすることができないため、最終的に画面上での「見た目」が購入の後押しになりやすい。

 その「見た目」も、ブログやSNSの利用者拡大により、容器の形状・デザインには、友人と共感しやすい、あるいは不特定多数が話題にしやすい「~らしさ」といったニュアンス的要素が求められてきている。

 その一方で、市場競争が激しさを増し、ブランドメーカーでは、開発スピードやコスト削減を重視する傾向は強まっており、「無地の容器を提案しても響かない。容器と一緒にデザインの提案・提供が求められている」と前述の社長は語る。

 その言葉を裏付けるかのように、今回取材した各社は「差別化」を口にした。その差別化戦略は、各社によって様々だが、大きく二分されてきた様子だ。

 一つは、オーガニック化粧品など需要が高まりつつあるカテゴリーを中心に、新製品の開発を推進して対応する戦略。もう一つが、既製品や汎用品を活かし、加工などの後工程や、キャップ・蓋のバリエーション拡大で対応するといった戦略だ。

 化粧品容器のトレンドをみると、数年前に比べ、伸長率は鈍化傾向にあるものの、オールインワンゲル、BBクリームなど多機能系アイテムに採用されやすい「クリーム容器」や「チューブ容器」は、現在も安定した需要があるという。

 最近では、新規獲得を目的とした販促・トライアルサイズ、そしてリピート向けの大容量サイズへの要望が増えている。今後も、末端で人気・話題のあるカテゴリー容器のバリエーション拡大が顧客満足の実現につながる。

 そして、まだ顕在化していないものの、潜在需要の大きさから言えば、社会環境に対応した容器への注目度が高まってくるはずだ。化粧人口の高齢化を踏まえ、開閉しやすさ、中身の出しやすさを訴求した容器や、バイオポリエチレンなどに代表される環境配慮型の容器は、ある時期を境に一気に市場が拡大する可能性を秘めている。

 また「使いやすさ」の観点から言えば、リアル店舗でカウンセリング販売を推進する現場サイドからは「適正使用量を推奨しながら、ディスペンサー、スポイトなど定量で出るタイプの容器を採用するブランドが少なすぎる」といった意見は少なくない。機能性訴求の潜在需要を掘り起こすチャンスもまだ残されている。

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