コーセー、日やけにより運動時の疲労が高まることを確認

粧業日報 2024年4月23日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 運動疲労に対する日やけ止めの価値拡張の可能性
コーセー、日やけにより運動時の疲労が高まることを確認

 コーセーは、日やけにより運動時の疲労が高まることを血中の疲労マーカーの変化から確認した。また、屋外での運動時に日やけ止めを使用することで疲労感が軽減される可能性を確認した。この結果は日やけ止めの価値を従来の美容目的に加え、運動時の疲労軽減まで拡張できることを示唆している。

 紫外線はシミやシワの原因の1つであることが知られており、その対策は美容において欠かせない。長期間紫外線を浴びることは目立ったシミやシワにつながるため、世代を問わず、早期からの紫外線ケアが推奨されている。

 一方、日差しの強い日に運動するとより一層疲れを感じるように、近年では紫外線と疲労の関係にも注目が集まっている。つまり、運動時に紫外線対策をすることで、疲労を軽減し、運動パフォーマンスの向上につなげられる可能性がある。既に、目から入った紫外線は酸化ストレスを生じ、疲労を感じさせることが知られているが、肌への紫外線の影響、すなわち日やけと疲労の関係については十分に科学的検証はなされていなかった。そこで研究では運動時の日やけと疲労の関係、日やけ止めによる疲労軽減の効果を検証した。

 まず、運動時の日やけと疲労の関係を明らかにするための試験を行った。試験に同意した健康な男女20名に、半そで半ズボンの日やけをしやすい服装で屋外にてエアロバイクを漕ぐ規則運動を120分間行ってもらった。この際、紫外線保護メガネを着用してもらうことで、目からの紫外線の影響を除外している。同様の試験を日の当たらない屋内でも実施した。

 疲労は、疲労学会「抗疲労臨床評価ガイドライン」に掲載されている2種の血中の疲労マーカー、疲労感のアンケートにて評価した。疲労マーカーとしては、疲労の一因である酸化ストレスを計るd-ROM(diacron reactive oxygen metabolite)、疲労からの回復力の指標となる抗酸化力を示すBAP(biological antioxidant potential)を用いた。それぞれの項目について、運動前、運動直後、運動終了30分、60分、90分、120分、180分後に測定し、各測定時での疲労の変化について統計解析を行った。

 その結果、d-ROM、BAPのどちらも屋外での数値が大きく、d-ROMでは運動終了30分後、BAPでは運動終了90分後において有意な差が得られた。このことから、目からの紫外線の影響を除外した環境でも、日やけにより運動時の疲労が高まることが確認された。

 次に日やけ止めによる疲労軽減効果を検証した。試験参加者全員に上記と同様に屋外にて、日やけ止め(雪肌精、スーパーウォータープルーフタイプ)を肌の露出部位すべてに塗布した場合、塗布していない場合両方の条件でエアロバイクでの運動をしてもらった。

 その結果、日やけ止めを使用した場合の疲労感は使用しなかった場合と比較して、運動終了直後から180分後まで有意に低くなることが確認できた。また、血中の疲労マーカーのBAPにおいて、日やけ止めを使用した方の数値が運動終了30分後に低くなる傾向が認められた。

 これらについては、日やけ止めの新しい価値研究の糸口となるため、今後はさらに詳しい検討を行っていく。


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