第101回 目的を明確にしたアンケートで、お客様を逃がさない

【週刊粧業2023年03月20日号4面にて掲載】

 アンケートを実施する時は、その目的を明確にしたアンケート設計にすることが大切です。時々、耳にするのが、「アンケートを取った後に何をできるか考えよう」。これでは、アンケートの設問自体も、中途半端になり、得られる情報が少なく、そこから何かしらの改善行動へとつなげていくことができません。

 アンケートの目的としては、例えば、

・商品購入前に抱く不安を探り、不安解消をできることを考えたい。
・お客様の要望や不満を探り、改善に努めていきたい。
・商品の魅力・特徴は十分に伝わっているのかを確認したい。
・リピート回数が多いお客様がどんなことに満足されていることを知りたい。
・同梱物、会報誌は読まれているのか? どんな情報に興味を示すのか知りたい。などが挙げられます。

 化粧品通販会社A社は、トライアルセット購入後の本品購入率を高めるために購入前にもっているお客様の不安を探るアンケートを実施しました。アンケートの回答を見ると、お肌に対するお悩みは多種多様で、何か一つの施策を行うことで解決できるようなものではないことがわかりました。そこで回答を下さったお客様全員に一人ひとりの悩みに合わせた返信を送ることにしました。

 アンケート無回答者と比べて、アンケート回答者からの本品購入率は高くなりました。手間はかかりますが、このような丁寧な対応が当初の目的を果たすことにつながりました。

 化粧品通販会社B社は、優良顧客が感じている商品の魅力や効果実感、使い方を探るアンケートを実施しました。対象を優良顧客にした理由は、リピート回数が多いお客様ほど、商品に関する知識が豊富で継続購入をする理由を持っていると考えたためです。

 アンケートの回答が戻ってきたところで、早速、優良顧客から得た情報をリピート回数の少ないお客様に共有しました。当初の仮説通り、リピート回数が少ないお客様は、商品に関する情報は優良顧客と比べると少なく、「○○について初めて知りました」「まだ、効果を感じていないが、しばらく使ってみようと思います」「使い方が間違っていることがわかりました」などという声が多く寄せられました。

 この結果から、リピート回数が少ないお客様に優良顧客がもっている購入理由を共有することで、リピート率を高めることができるという仮説に確信を持つことができました。

 化粧品通販会社C社は、定期的に会報誌に関するアンケートを実施しています。会報誌は読まれているのか否か? どのぺージが多くのお客様の関心を引くことができたのか? 何故、そのページに関心を持たれたのか? また、会報誌を読まないお客様はなぜか? などを把握することが目的です。

 このようなアンケートを定期的に行うことで、お客様に有益な情報を発信できる会報誌へと育てていくことができます。また、読まれていない理由が、会報誌の内容以上に文字やデザイン性による読みづらさが理由であることを知り、読みやすい会報誌へと改善していくことができます。

 なんとなく、お客様を知りたいという目的ではなく、事前に何を知りたいのか? 何故知りたいのか? 仮説を立て、目的を明確にすることがアンケートをする際に一番大切なことです。

 アンケートを実施したからといって答えが見えるわけではありませんが、目的をもったアンケートからは施策のヒントを数多く得ることができます。お客様の満足度を高め、長く商品を利用してもらえるよう、ぜひ定期的にアンケートを実施してみてください。
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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