第103回 コールセンターに集まるお客様の声を活かせていますか?

【週刊粧業2023年07月17日号2面にて掲載】

 コールセンターに集まる声に耳を傾け、なぜ?かを考えることが、会社側では見つけにくい課題の発見につながります。そして、その解決策の実行は継続率、LTVのアップにつながっていきます。

 よく見られるのが、対応に追われ、「なぜ、お客様がそのような質問をしてきたか?」本質を考える時間を持てず、放置してしまっている状態です。

 その場の対応にだけ囚われず、お客様から寄せられる声を活かしていく姿勢、仕組みづくりがとても大切です。

 化粧品通販会社A社は、「夏はどうしても肌がベタつくから余る」という声が集まっていました。はじめは、夏は汗をかくので、このような声が集まるのは仕方ないと受け入れていました。ある時、商品担当者に「本当に夏はベタつくのか? ベタつくからという理由で使用量を減らしても、効果に影響はないのか」と尋ねると、夏にベタつくという方に向けたおすすめの使い方があるというのです。

 しかしA社は、この課題と解決策を担当者が認識しているのみで社内で共有できていませんでした。そのため、多くのお客様にベタつく時のおすすめの使い方提案を行っていなかったのです。コールセンターに集まる声を社内で共有し、課題の解決策に取り組むという習慣があればもっと早くに対応することができたでしょう。

 化粧品通販会社B社は、洗顔石鹸を販売しています。美容成分の配合量が多いことから、保管時に溶けやすいという特徴があります。定期コース解約理由の多くも、この商品が溶けてしまうということでした。

 もちろん、美容成分の配合量を減らせば溶けづらい商品になります。しかし、それでは商品コンセプト、特徴から外れてしまいます。そこで、どうすれば保管時に溶けることないようにできるか、社員同士で協力して、さまざまな保管方法を考え、実験しました。この実験から溶けづらい保管方法が見つかり、お客様に積極的に案内をしていくこととしました。その結果、商品が溶けやすいという理由による定期の解約を減らすことができました。

 B社の経営者は、毎日、お電話やハガキで届くお客様からの声を必ず一番にチェックし、気になる声を見つけては社員と話し合い行っています。お客様から寄せられる疑問、不満の声を拾い上げ、共有する仕組みができていることで、スピーディに課題解決の施策を実行できるのです。

 コールセンターには、商品が使いづらい、使い方がわからない、飲みづらい、飲むタイミングがわからないといったように、さまざまな声が集まってきます。

 このような声が多いという事象だけを共有するのではなく何故、このような声が挙がってくるのかと理由を考えることがとても大切です。

 継続率、LTVをアップするには、定期コースという仕組みだけに頼っていては難しいです。いかにお客様の声からヒントを得て、施策に活かしていけるかがますます重要になっているのです。
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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