第105回 丸投げでは良い制作物は作れない

【週刊粧業2024年1月22日号6面にて掲載】

 同梱物や広告を制作する際には、広告代理店や制作会社といったパートナー企業に発注するのが一般的です。この際に制作物の出来を左右するのが発注後、最初に行うオリエンです。

 具体的に方向性や考え方を伝えるか、丸投げに近い形で依頼するかによってでき上がりに大きな差が生まれます。

 「自分達は経験が浅く自信がない」「プロで経験が豊富だろう」という考えが結果として丸投げの発注につながります。しかし、いくら経験があってもクライアント側が方向性を示したり、十分な情報を渡さないと制作側は動きが取れないのが実情です。

 化粧品通販会社A社は、制作物を発注する前に社内でラフ案を制作します。制作物の目的、伝える情報の流れ、必要な情報の整理を行い、自社で具体的なイメージを掴んでからオリエンを行っています。

 事前に自分達が完成のイメージを持つことで、初校に対して、具体的なフィードバックができ、スピーディーに完成することができます。

 健康食品通販会社B社は、スキルの高い制作会社と長いお付き合いをして信頼関係を醸成しています。付き合いの長さがパートナー企業との阿吽の呼吸を生み、オリエンにそった制作をするだけでなく、B社の好むデザインや表現を汲んで初校をあげてきます。

 自社の持っている情報を渡すだけで、「方向性は考えてください」「足りない情報は自分達で調べてください」ではパートナー企業もモチベーションが下がります。そして、発注する側にイメージがないと初校へのフィードバックも抽象的になってしまい、完成に時間がかかってしまいます。

 例えば、ラーメン屋を開業する際に、店舗の外観・内装を発注する場合、丸投げでお願いしますということにはならないはずです。お店のコンセプト、店主の想い、主力商品のメニュー、外観・内装へのこだわりなどを伝えて初めてデザイナーはイメージを湧かすことができます。

 商品について一番詳しいのは発注する通販会社です。その前提に立ち、いかに具体的にオリエンを行うかが、パートナー企業の持つ力を最大限発揮してもらうことにつながります。

 制作物が思ったように仕上がらない、制作に時間がかかるとお悩みの方がいたら、具体的なオリエンができているかを振り返ってみてはいかがでしょうか?
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船生千紗子

(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント

通販に特化した広告代理店を経て、株式会社通販総研に入社。現在、化粧品通販新規参入支援、化粧品通販企業向けに新規顧客獲得、リピート顧客育成による売上アップ支援を行っています。クライアントの強みを伸ばし、着実な成長を促すことをモットーにしています。

https://www.tsuhan-soken.com/

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