自社ブランド「HANAオーガニック」を商材に化粧品通販事業を展開しているえそらフォレスト(本社=福岡市)は、顧客基盤が固まり始めた2014年3月に顔用日やけ止め「ウェアルーUV」(30mL4000円)を発売したところ予測に対し5倍の売れ行きを叩き出し、「立ち上がり時点の注目度が(既存製品に比べて)全く違っていた。今までで一番のヒット商品になった」(林田七恵取締役副社長)という結果につなげている。
林田氏は、女性誌掲載が引き金の一部だった同商品のスタートダッシュについて、率直に「当社程度の規模の会社が、市場を賑わすことができた」と感慨深げに評した。
ただ、好スタートの舞台裏では開発期間が「3年がかり。産みの苦しみは最大だった」(同)という忘れ難いエピソードがある。
製造委託先で同商品を担当した研究者には、あまりの長期戦に「『山に籠もっている心境だった。下界に降りる気がしなくなった』と言われた」ほか、同研究者の相棒からも「『ねぎらいの言葉が見つからなかった』というほど」の第三者意見が届いた。
また、いったんは完成した同商品は昨春、出荷の水際で分離が起こって急遽の差し止めとなる一幕もあった。 この後、3月の正式発売をたぐり寄せた立役者は「山籠もり」と嘆いた先の研究者で、安定が見込める海外原料を「探しに探してくれた」(同)ことで事態が旋回したのだという。
一方で、絶好のスタートは反動で4月10日に在庫切れを引き起こし、5月までの予定だったキャンペーンを中止した。欠品後に3回のリピートオーダーを重ね、今夏になってようやく受給バランスが追いついたという。
「嬉しい悲鳴」を招いた早々の在庫切れについて、林田氏は「もともと既存のお客様に向けた数量しか作っていなかった。雑誌を見た新規愛用者の反響は想定になかった」と苦笑いで振り返った。
こうして一連のドラマから誕生した「ウェアルーUV」は現在、「ファンデーションいらずのUV」とうたって展開している。
同商品で迎えた新規客は既存の基礎化粧品を買い始め、乳液を例にすると2013年終盤に比べ売れ行きが約2倍になっているという。
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この記事は週刊粧業 掲載
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