週刊粧業では一昨年より、専門店の若手経営者とそれに準ずる役職の方を対象に、テーマを設けて座談会企画を展開している。
第3回となる今回(2014年)も、大阪府粧業協同組合を会場とし、近畿化粧品小売組合連合会(近粧連)メンバーでもある若手経営者らに「これからの化粧品専門店のあり方」について、座談会形式で語ってもらった。
快く協力をいただいた山本晃司氏(天満アサヒ)、東真紀夫氏(マサヤ)、高橋一敏氏(サンウェル)、松本善弘氏(松本商店)、播磨秀宜氏(コーロ)、塩谷俊介氏(すみや)の6名は、近粧連・青年部として発足し、今年20周年を迎える「JCF(ジャパン・コスメティック・フューチャー)」のメンバーでもあり、業界および専門店業態の発展に向けた勉強会や情報交換・交流会を定期的に行っている。
出店形態・立地で悩む多様化
路面店のノウハウ強みに活路
――昨今のみなさんが経営する店舗状況と抱えている課題についてお聞かせ下さい。
山本 当店は、ドラッグ戦争が激し商店街で展開しており、ドラッグストアに挟まれながら経営している。印象として、若い女性が減ったと感じており、現状のままいくと厳しい状況に陥ると感じている。
高橋 当社は、大阪府高槻市の団地の中に路面店を構えているため、主婦やパート勤務の女性が中心で、学生やOLは少ない。地域的に新規来店客は見込めないエリアで展開している。
塩谷 兵庫県の西部に位置する赤穂市で、商店街の中で路面店を展開しているが、当店も新規の客はあまり来店せず、50~60代女性がメインの客層だ。
2年前から化粧品店も経営しているが、斜め前に展開していた地域密着型のスーパーが移転し、人の流れが変わってしまってからは厳しい状況が続いている。
松本 たしかに、人の流れがあれば、フリー顧客が自然と増えるため、導線は重要だ。導線から外れてしまった場合を想定していても対応しにくいのではないか。
当社の場合、粉浜店(大阪・住之江区)を本店に、大阪・兵庫で5店の専門店を経営している。
商店街立地の本店は、採算ベースで考えれば、路面店がいいが、地域が寂れていけば厳しくなる状況だ。
売上げを考えるならば、広域のショッピングモールやターミナル店に出店する以外にないのではないか。
東 兵庫県尼崎市内を通る阪急、JR、阪神の3線上にそれぞれ専門店を展開している。阪急の路面店を本店に、JR橘駅の商店街内に1店、阪神尼崎駅の1階ショッピングセンター内に1店を展開している。
阪神尼崎の店は、2年前の改装を機に若い層が来店する店舗が入って、新しい客が増えてきている。新しい若い層が普段買い物できる店に変わった。新しい顧客が入ってきており、伸び率もいい。
播磨 大阪・梅田の好立地と言える場所に専門店を展開しているが、施設内の奥まったところにあるので、人の流れはない。
OLを中心に30代の女性も多く、他の専門店に比べると、環境的には恵まれているかもしれないが、転勤や結婚などで固定客につながりにくく、また、客単価を上げることが難しい。
また、家賃との兼ね合いもあるので、客数を入れ込まないと厳しい状況にあり、見た目以上に苦労している。