アルビオン、スリランカ研究所で栽培研究した植物の実用化に成功

粧業日報 2023年9月1日号 2ページ

アルビオン、スリランカ研究所で栽培研究した植物の実用化に成功
 アルビオンでは、東京農業大学と共同で設立した「スリランカ伝統植物研究所」が今年、開設から10年目を迎えた。このほど、同研究所で新たに栽培研究を行ってきた植物(トゥルシー、アダトダ、ニーム)の実用化に成功した。この研究成果は、今後発売される製品に応用していく。

 島国スリランカは、固有の植物の宝庫であり、アーユルヴェーダ(薬草を生かした伝統医療)が盛んであることから、同社ではこの地の植物に着目。貴重な植物資源を守りながら持続的開発を行うため、2014年、東京農業大学と共同で「スリランカ伝統植物研究所」を設立した。2017年に研究棟や薬草園を拡大し、2018年には量産用圃場の運用を開始。実用化されていない植物の分析や新規成分の開拓などを行い、新しい化粧品用のエキス開発を目指すとともに、現地に利益や技術を還元し産業を支援する研究活動を進めてきた。

 農園内の植物は、無農薬で栽培植物の残渣を堆肥化した有機肥料を使用して栽培されている。スリランカは熱帯に位置し、四季のある日本とは違い高温多湿のため、植物が短期間で育ち、1年を通して多くの量を収穫することができるが、雑草も生えやすく、無農薬で栽培しているため、虫による害にもさらされやすい。そのため、畑を見回り、手作業で雑草や虫を取り除いたり、変化がないか観察しながら大切に育てられている。

 古くから人々の健康維持に貢献してきた伝統植物について、未知なる効果や発見を求めて日々研究を行う中、植物が持つ肌効果を新たに見出し、化粧品用のエキスとして実用化することに成功した。

 トゥルシー(英名:ホーリーバジル)は、バジルの一種でシソ科メボウキ属の植物。サンスクリット語で「比類無きもの」を意味し、ホーリーバジルとも呼ばれ、病気と災いを寄せ付けない聖なる植物と言い伝えられている。研究所で栽培研究したトゥルシーは、数あるトゥルシーの中でも、一番薬効があるとされているクリシュナトゥルシーで紫色が特徴だ。

 トゥルシーの特徴的な香りには、身体の免疫機構を高め、ストレスを和らげるなど、心身のバランスを整える効果があるといわれている。この香り成分については、アルビオンと東京農業大学の共同研究により、高い抗酸化作用があることを発見し、2021年に学会発表を行っている。今回、香りのみならず、葉の抽出物についても研究を進めたところ、フラボノイドなどのポリフェノールが豊富に含まれ、抗老化、抗糖化、抗酸化や抗炎症など、肌に対して多岐にわたる効果があることがわかった。

 アダトダ(英名:マラバールナッツ)には、ヴァシシンという成分が含まれ、気管支拡張作用などの報告があり、咳止めの民間薬として紀元前から使用されてきたといわれている。

 研究所で栽培されたアダトダから抽出したエキスに、ヴァシシンだけでなくフラボノイドやタンニンなどのポリフェノール類が含まれることを確認。抗酸化、抗炎症、ヒアルロン酸合成促進、セラミド分解抑制などの効果を見出し、肌のエイジングやバリア機能維持にとても効果的なエキスであることがわかった。

 さらに、同研究所で採取したニームの葉から抽出したエキスについては、フラボノイドのほかに天然の界面活性剤といわれているサポニンや抗菌作用があるニンボリドなどが含まれており、高い洗浄・抗菌効果が期待できるほか、抗酸化・抗炎症などの効果があることもわかった。
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