資生堂、べにばな抽出エキスに毛細血管の構造安定化効果を発見

粧業日報 2023年12月6日号 2ページ

カンタンに言うと

  • 血管に着目したホリスティックなエイジングケアへと応用
資生堂、べにばな抽出エキスに毛細血管の構造安定化効果を発見
 資生堂は、山形県で伝統的に生産されている紅花の品種である「もがみべにばな」から抽出したエキスが、血管内皮細胞同士の接着を担う「VE-カドヘリン」に働きかけ、毛細血管の構造を安定化する効果を発見した。

 今回の発見により、内皮細胞同士の接着も促し、より毛細血管の構造を安定に導く可能性を発見したことになる。研究成果は、血管に着目したシミ・くすみ、しわ、たるみといったエイジング悩みにアプローチするソリューションへと応用していく。

 資生堂は、肌本来の美しさを引き出すには体内との関わりが大切であると考え、血管、リンパ管、神経、免疫など、皮ふと全身との関わりを踏まえたホリスティックな視点での皮膚科学研究にいち早く取り組んできた。

 特に血管については、独自の血管観察技術を開発・活用しながら、血管の状態とシミ、しわ、たるみなど多くの肌状態との関連を明らかにしてきた。血管の構造は、壁細胞の接着、血管内皮細胞同士の接着の主に2つの要素によって安定化されている。

 同社はこれまでに、血管内皮細胞と血管壁細胞の接着を安定化する効果を持つ成分について見出していた。さらに、資生堂は紅花について30年以上にわたり着目しており、血流を促す効果が知られているアデノシンが紅花に含まれていることも確認している。

 今回、日本をオリジンとする資生堂としての視点、過去の研究から紅花が血流に関係するというサイエンスの視点から、日本産の紅花である山形県で生産される「もがみべにばな」から抽出したエキス(べにばな抽出エキス)に新たに着目した。

 血管と美容との関係が大きく注目される中、研究では「べにばな抽出エキス」が血管にもたらす影響について調べた。

 毛細血管は、血管内皮細胞とそれを覆う壁細胞の二層構造になっており、内皮細胞と壁細胞の接着に加えて、血管の内側を形成する血管内皮細胞同士の接着が重要だ。そこで、血管内皮細胞を培養し「べにばな抽出エキス」を添加し、血管内皮細胞同士の接着を担う「VE-カドヘリン」の発現の様子を観察した。

 その結果、「べにばな抽出エキス」の添加により、細胞同士の接着部位に「VE-カドヘリン」が密に集まることが確認できた。さらに、「VE-カドヘリン」の発現量を確認したところ、「べにばな抽出エキス」添加により上昇していることもわかった。

 これらの結果より、「べにばな抽出エキス」が、血管内皮細胞同士の接着を担う「VE-カドヘリン」に働きかけ、血管構造の安定化に寄与していることが示唆された。
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