カネボウ化粧品、微生物発酵生産素材でサスティナブル製剤を開発

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カネボウ化粧品、微生物発酵生産素材でサスティナブル製剤を開発

 カネボウ化粧品は7月3日、サステナブルな微生物発酵生産素材を用いた化粧品開発に関する技術説明会を開催し、早瀬基スキンケア研究所商品設計第2グループ主任研究員が2つの素材の物性について語った。

 化粧品業界では植物由来の原料を中心に処方を組んできたが、環境破壊や天候の影響など受けるなどサスティナブルな面で課題があった。そこで同社は高い乳化特性があり、環境負荷が少なく、タンク培養できる微生物産生物質に着目した。

 中でも発酵生産物は主に増粘剤として使われてきたが、ここ数年は保湿成分や乳化剤としても使われるようになった。同社が研究を進めている素材の1つが、ユーグレナ(ミドリムシ)が作り出す高分子保湿剤「カルボキシメチルβ-1、3-グルカン(CMβG)」である。

 「CMβGの物理化学的特性の評価と、化粧品への応用について検討したところ、水分量の変化、水分保持能においてヒアルロン酸Na(HA)と同等の効果を示した。レオロジー特性(粘弾性)の測定結果でも、水のような挙動を示した。ただし、HAは肌に塗布すると水分が放出されて粘りが出るが、CMβGはそれがない。HAと同等のしっとり感を付与しながらもベタづきが少ないことがわかった」 

 もう1つの素材が枯草菌が産生するアミノ酸型アニオン性微生物乳化剤「サーファクチンナトリウム」(SFNa)である。

 「SFNaは水とまぜても84%まで白く固まらず、他のアニオン性界面活性剤と比較しても広範囲で燈明なゲルを形成した。水分保持力も高く、高濃度領域において水を動かさない構造をとると考えられる。乳化の際、濃度によって違う挙動を示すが、SFNa50%ゲルを用いることにより良好な乳化物が得られた。微生物乳化剤は汎用性が高く、サスティナブルで生分解性も高い。当社としては肌だけでなく、地球にもやさしい製品をつくっていきたいと思っている」

 同社ではこの研究成果を7月6日に開催された日本化粧品技術者会第70回研究討論会で発表した。今秋に発売予定の「トワニー」のスキンケアにこの成果を応用していく。

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