ライオンは、世界21カ国でリサイクルプログラムを展開する「テラサイクル」(本社=米国ニュージャージー州)と連携し、5月25日から環境負荷低減に向けた取り組みの一環としてハブラシ・リサイクルプログラム「ハブラシ ブリゲード」を開始した。同日、都内のホテルで行われた記者発表会には、和田啓二事業開発部長とテラサイクル社の最高総務責任者であるリチャード・パール氏が駆けつけ、和田氏がプログラムの狙いと概要について、リチャード氏がプログラムの詳細と海外での活動実績について説明した。
「ハブラシ ブリゲード」の仕組みは、子どもから大人まで全ての生活者が個人・学校・団体などの単位で参加することが可能で、プログラム参加者はまずはじめにテラサイクルのホームページからアカウントを設定し、事前登録を行う。
そして、参加者は不要になった段ボールなどの箱を活用して回収ボックスを設置し、使用済みハブラシを集める。回収対象は、天然毛(豚毛・軟毛など)、電動ハブラシ本体・付け替えブラシ、歯間ブラシ以外で、どのメーカーのハブラシでも回収が可能だ。集めた使用済みハブラシは指定運送業者が着払いで回収するため、参加者は費用を負担することなく使用済みハブラシを発送できる。
発送可能量は2キロ(約200本)からで、集めた重量に応じて参加者にポイントが付与される仕組みとなっている。
これにより、プログラム参加者はポイント数に応じてリサイクル加工して作られたプランターなどのプラスチック製品との交換や、教育支援・地域支援などの寄付に換えることができるという。
テラサイクル社では、ハブラシの回収からリサイクル加工、そしてプログラム参加者が希望する場所へのリサイクル品寄贈までの運営を担当し、ライオンがそのコストを全て負担する。
「日本では現在、年間で約4.5億本のハブラシが消費され、使用済みハブラシは埋め立て地などに廃棄されている。ハブラシ ブリゲードでは、子どもから大人まで多くの人が毎日の暮らしの中で使っているハブラシを手軽にリサイクルする場を提供し、定期的なハブラシ交換を促進して生活者のお口の健康管理と環境負荷低減に貢献していくことを狙いとしている。5月1日からは墨田区内にある2つの児童館で試験運用を開始しており、子どもだけでなく保護者まで幅広く参加され、定期的なハブラシ交換を意識するようになったとの声が寄せられている。当社としては、初年度で25万本の回収を目指していく」(和田氏)
続いて、登壇したリチャード氏は、海外におけるテラサイクル社のオーラルケアブリゲード(オーラルケア商品の回収・リサイクル事業)の実績を紹介し、「アメリカをはじめ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、ドイツ、オーストリア、ニュージーランド、オーストラリアの8カ国でオーラルケアブリゲードを展開し、これまでに全世界で280万個以上のオーラルケア商品を回収している」と海外での活動実績を説明した。