エアゾール製品と化粧品・医薬部外品OEM/ODM事業を展開するエア・ウォーター・ゾルは今年2月、茨城工場の敷地内に化粧品の処方開発を軸にした新研究所「Value Creation Laboratory(価値づくり研究所)」を完成させ、化粧品ODM部門を強化する。
出展する第10回化粧品開発展では、初出展となった前回(第9回)と同様のテーマ「『つくりたい』を叶えます。」を掲げ、エアゾール製剤の化粧品や自社コラーゲン原料を用いた機能性化粧品の展示とともに新研究所の紹介を行う。
尾上英俊社長は「今回は新研究所が完成する。化粧品業界でのさらなる企業認知の獲得に加え、当社のODM機能に期待感を持ってもらえたら嬉しい」と語る。
同社は、産業ガス事業を手がけるエア・ウォーターのグループ会社で、エアゾール業界では売上3位の大手。人体用エアゾールでは近年、UVスプレーが好調に推移している。化粧品メーカーとの取引拡大にともない、18年12月に化粧品を主体とした新工場(茨城第二工場)を竣工して化粧品OEM/ODM事業を本格的にスタートした。
新工場では一般(非危険物)化粧品、アルコールなど危険物扱いとなる化粧品、エアゾール製剤の化粧品の3つの生産ラインでスタートしているが、今年は新たに2ラインを加えて5ライン体制にする計画だ。
生産能力を増強する中で新研究所が完成する。
新研究所は、ブランドメーカーとの共同開発も行えるオープンラボや官能評価室を完備する。
研究開発本部長の鈴木昇執行役員は、「化粧品工場の新設に合わせて『化粧品開発部』を立ち上げ、化粧品の製剤研究や自社コラーゲン原料の機能開発研究を進めている」ことを明かし、「展示会ではエアゾール製剤だけでなく、化粧品の処方開発から提案できるODM部門をアピールしていく。展示製品の詳細は白衣を着た研究員に気軽に声をかけてもらいたい」と話す。
自社コラーゲン原料はエア・ウォーターが北海道大学との共同研究から開発に成功したサケ由来の海洋性コラーゲンで、既に化粧品業界に流通している。今後は茨城第一・第二工場の敷地内にコラーゲンの生産設備を導入して新研究所との連携強化を図り、新規コラーゲン原料の開発や既存のコラーゲン原料の新たな機能性を見出す。
鈴木氏は、同社が理念に掲げる「モノづくりから価値づくりへ」を体現するハード面(新研究所)の整備とともに、ソフト面への取り組み強化を進めていくと話し、こう続けた。
「ハードを活かすのは人であり、『価値づくり』とは『人づくり』であると捉えている。展示会への出展は、準備段階から出展後のフォローまで人づくりを推進する上で貴重な機会だと捉えている。社員一人ひとりが自社の製品やサービスについて理解をさらに深めるとともに、人間として一回り成長することも期待している」