入浴剤メーカーのバスクリンは、エス アンド エー アソシエーツ、広島国際大学心理学部田中秀樹教授の研究グループとの共同研究で、浴用剤を使用した習慣的な入浴が、養育者の負担などのストレス軽減や親子の睡眠の質を上げ、QOL向上に寄与する可能性を見出した。
研究成果については、2019年6月27・28日に開催された第44回日本睡眠学会定期学術集会報告にて発表している。
浴用剤は、入浴によって得られる温熱、静水圧、浮力の作用に加え、血流増加作用、リラクゼーション作用、ストレス軽減などが報告されている。
こうした中、浴用剤の開発とともに入浴と健康の関係性について研究を進める同社は今回の共同研究で、子育て世代の生活ストレスと入浴との関連に着目し、浴用剤を用いた入浴が子どもとその親の睡眠改善およびQOL向上に及ぼす影響について検討を行った。
関東在住の4歳または5歳の幼稚園児・保育園児をもつ養育者10名に、自宅で無機塩含有炭酸ガス浴用剤を使った入浴(浴用剤あり)と、さら湯入浴(浴用剤なし)の各条件で1週間計測を行ってもらい、各養育者の主観評価と、活動量計による睡眠評価を行った。
解析は、各条件の有効回答を対象に平均値を算出して行い、検定は有意差を見出す「t検定」を用いた。p<0.10で有意傾向あり、p<0.05およびp<0.01で有意差ありとした。
「こどもにかかる手間と入浴」に関する評価では、浴用剤あり条件では、浴用剤なし条件に比べ、普段より有意に手がかからなかった(p<0.01)。
養育者の睡眠の満足度に関する評価(100点満点評価)では、浴用剤あり条件では、浴用剤なし条件に比べ、「目覚め」の満足度が有意に良好な結果(p<0.05)が得られ、「疲労回復感」の満足度も高い傾向(p<0.10)にあった。また、養育者からみた子どもの生活および睡眠に及ぼす影響では、子どもの日中の様子に関する評価(-5から+5の11段評価)は、浴用剤あり条件では、普段より「楽しそう」な様子が有意に観察され(p<0.05)、浴用剤なしよりも「食事に集中する」様子もうかがわれる傾向(p<0.10)にあった。
子どもの睡眠状態に関する評価では、浴用剤を用いることで普段より「寝つき」が良好な様子が観察される傾向(p<0.10)が見られた。また、養育者の総睡眠時間が有意に長く(p<0.05)、睡眠効率が高い傾向(p<0.10)が確認された。
以上から、浴用剤あり条件では、浴用剤の温浴効果、リラックス効果により、ストレスや睡眠に良い影響をもたらしたと考えられ、「入浴に浴用剤を用いることは、養育者のストレスを軽減させ、親子の睡眠の状態を良好化するとともに、QOLの向上に寄与する」(同社)という。