サンスター、ハミガキ・洗口液の防腐効果をAIで予測可能に

粧業日報 2023年9月5日号 3ページ

サンスター、ハミガキ・洗口液の防腐効果をAIで予測可能に
 サンスターは、ハミガキ・洗口液の処方情報をもとに、製品の防腐効果を予測するモデルを開発した。今回開発したモデルを用いることで、従来、試験を行って判定していた製品の防腐効果を、AIによって予測することが可能になり、迅速かつ効率的な製品開発につなげることができる。

 生活環境中には様々な微生物が存在しており、これら微生物が意図せず製品に混入した際に、製品の腐敗を防ぐ効果を防腐効果という。ハミガキ・洗口液の処方開発においては、製品を安心して使用できるよう、適切な防腐効果を持たせる必要があり、その効果を確認するために、防腐効力試験を実施している。

 この試験では、細菌や真菌といった微生物を製品へ添加し、定期的に菌数を計測するが、これには微生物に関する専門的な技術や経験が必要とされ、試験期間も約1カ月必要となる。従って、実施に多大な労力と時間が費やされることが課題だった。

 近年、AIを用いて、過去に収集した大量のデータに基づき、将来の結果を予測する予測分析手法が様々な分野で活用されている。この手法を用いて、ハミガキ・洗口液の処方情報から、防腐効果を予測することができれば、試験にかかる労力・時間・費用を大幅に削減することができ、迅速かつ効率的な製品開発が可能になる。そこで研究では、AIを用いた予測分析手法により、ハミガキ・洗口液の処方情報から防腐効果を予測するモデルの開発を試みた。

 予測モデルの作成にはAI予測分析ツールを用い、学習データにはこれまで同社で蓄積した大量のハミガキ・洗口液の処方情報と、それに紐づく防腐効力試験結果を用意し、ハミガキ・洗口液それぞれについて、細菌類と真菌類に対する防腐効果を予測するモデルを開発した。

 このモデルの予測精度の検証を行ったところ、ハミガキでは予測判定の正解率が細菌類で91%、真菌類で92%、洗口液では正解率が細菌類で80%、真菌類で91%となり、非常に予測精度の高いモデルの作成に成功した。

 またこのモデルの有用性を検証するため、学習に使用していない試作品(ハミガキ・洗口液、計8検体)について、防腐効果を予測させたところ、全ての試作品で実際の防腐効力試験の結果と予測した結果が一致し、防腐効果予測の実使用においても非常に有用であることが示された。
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