マンダム、発汗時の汗腺の収縮メカニズムと新たな制汗成分を発見

粧業日報 2023年11月8日号 3ページ

マンダム、発汗時の汗腺の収縮メカニズムと新たな制汗成分を発見
 マンダムは、大阪大学大学院、長崎大学大学院、大阪公立大学大学院との共同研究で、ヒトが発汗する際に、どのような機構で汗腺の収縮が起こっているかを明らかにした。

 今回、汗腺の収縮に重要な筋上皮細胞上にギャップジャンクションを構成するコネキシン(CX)が多く発現していること、発汗時の汗腺の収縮にはそのギャップジャンクションが大きく関与していることを見出した。

 また、ギャップジャンクションの機能を止める薬剤カルベノキソロン(CBX)によって汗腺の活動が抑制されることを確認した。さらに、CBXの類縁体のGMAが実際にヒトの温熱性発汗や精神性発汗の両方を抑制することを発見した。

 これらの成果は、従来の制汗技術にはない、次世代制汗技術の開発や汗腺の発汗障害にあたる多汗症の解明や治療にも役立つことが期待される。なお、この研究成果は国際学会「IFSCC2023」にて発表し、ポスター部門で「最優秀賞」を受賞している。

 近年、世界規模で平均気温が上昇していることもあり、過剰な発汗は発汗機能の障害を持つ多汗症患者だけでなく、発汗障害のない生活者にとっても不快に感じるものになり、QOLの低下につながっている。

 発汗を抑える簡便な方法としては、アルミニウム塩が汗腺に蓋をすることで物理的に発汗を抑制する制汗剤がよく利用されているが、3人に1人がその効果性に満足しておらず、さらなる制汗の機能性の向上が望まれている。

 従来とは異なる新たな制汗技術の構築に向け、研究グループではヒトの汗腺を用いて、ヒトの汗腺が発汗時に収縮することで、皮膚表面に汗が押し出されることを明らかにしてきた。しかしながら、その詳細なメカニズムについては不明な点も多く、発汗を抑制する効果的な成分も明らかになっていなかった。

 そこで研究グループでは、ヒト皮膚組織からエクリン汗腺を採取し観察を行ったところ、発汗時の汗腺の収縮に必要な筋上皮細胞にギャップジャンクションを構成しているCXが発現していることを明らかにし、中でもCX43が筋上皮細胞上に多く分布していることを突き止めた。また、ギャップジャンクションの阻害剤であるCBXが筋上皮細胞の動きや汗腺の活動を抑制することを確認した。これらの結果から、発汗時の汗腺の収縮には筋上皮細胞にあるギャップジャンクションが重要な因子であることが明らかとなった。

 次に、その類縁体であるGMAを用いて、運動負荷や精神的負荷による実際の発汗に対する制汗効果について、発汗挙動をリアルタイムに観察できる発汗計を用いて検証した。その結果、GMAをワキに塗布することで運動による発汗開始を遅らせ、15分間の運動による発汗の総量を減少させた。

 また、GMAによって発汗の挙動(振幅)が抑えらていることから、実際のヒトのワキでも汗腺の動きが抑制されていることが示唆された。さらに、5分間の暗算による精神的負荷を与えた際の手の平の発汗もGMAの塗布によって抑制されることが明らかとなった。

 今回の研究によって見出された新たな制汗技術は汗腺に直接作用することにより制汗できるもので、新たな機能をもった制汗剤の開発や従来の制汗技術との組み合わせによりさらなる制汗効果の向上が期待される。

 また、発汗における汗腺の動態機構がさらに解明されれば、発汗に関連する病気(多汗症)の解明や治療につながることも期待される。
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