資生堂、肌内部へ浸透した有用成分の分布を高精細に可視化

粧業日報 2024年2月5日号 4ページ

カンタンに言うと

  • 成分の浸透経路や標的細胞への送達状態の情報を取得し処方設計へ応用
資生堂、肌内部へ浸透した有用成分の分布を高精細に可視化

 資生堂は、肌内部へ浸透した化粧品・医薬部外品成分の分布を細胞レベルの解像度で観測できる画期的な分析技術を、東レリサーチセンターとの共同研究により開発した。

 東レリサーチセンターが保有する超高解像度元素イメージング技術(NanoSIMS)と同社が強みを持つヒト皮ふ観察技術を組み合わせることで、肌内部に浸透した成分の鮮明な可視化が可能になった。

 今回の技術により、化粧品・医薬部外品成分の角層における浸透経路や標的細胞への送達状態など、これまで得られなかった貴重な情報の取得が可能になり、より高い機能性・安全性をもつ製品の開発加速が期待される。

 化粧品や医薬部外品に用いられる有用成分の肌への浸透度を評価することは、機能性と安全性を両立した製品開発の加速に大きく寄与する。

 化粧品・医薬部外品成分の浸透度の評価は、肌への塗布後に直接肌から成分を抽出しその量をLC/MSで測る方法と、肌組織内の成分分布を可視化する質量分析イメージング技術を併用して行ってきた。しかし従来の質量分析イメージング技術は、細胞レベルの極めて小さな空間の成分分布を可視化できる解像度がなく、最も知りたい角層における浸透経路や標的細胞への成分送達を詳細に把握することは技術的に困難だった。

 今回、化粧品・医薬部外品成分の浸透経路や標的細胞への送達状態などの詳細な情報を取得し、機能性や安全性を考慮した処方設計へ応用することを視野に、より高い解像度をもつイメージング技術の開発を目指した。

 研究では、主に半導体等の工業材料において、微量な不純物分析などに用いられている超高解像度元素イメージング技術(NanoSIMS)に着目した。

 資生堂は、東レリサーチセンターとの3年に及ぶ共同研究により、NanoSIMSでヒトの皮ふを精細に観察する分析技術を確立し、有用成分の肌内部への浸透の様子を、核などの細胞小器官が観測できるナノメートルオーダーの解像度で可視化することに成功した。

 美容医療の普及などに伴い、生活者が化粧品や医薬部外品に求める機能性や安全性のレベルは、日々高まっている。同社は今回開発した分析技術を活用することで、生活者の期待を超える、より高い機能性・安全性を持った製品開発を進めていく。

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