粧業日報 2024年2月28日号 3ページ
カンタンに言うと
花王とライオンは、イトーヨーカ堂、ウエルシア薬局、ハマキョウレックスとともに、内閣府が主催する第6回日本オープンイノベーション大賞にて、「リサイクリエーション活動『つめかえパックの回収と水平リサイクル』」の取り組みが評価され、「環境大臣賞」を受賞した。
競合関係にある大手2社がサーキュラーエコノミー実現のために技術開発だけでなくプロセス再構築で連携している点が高く評価された。
今回受賞した取り組みでは、製造業の花王とライオン、小売業のイトーヨーカ堂とウエルシア薬局、物流業のハマキョウレックスという異業種が協働し、使用済みつめかえパックを回収するためのインフラの検証と水平リサイクル技術の開発を行っている。
新たな資源循環の仕組みは、広く利用されるものでなければならず、複数企業による協働の成果を見せることで、より広めやすい、開かれた取り組みになったことが評価ポイントとなった。
花王とライオンは、2020年9月に、プラスチック包装容器資源循環型社会の実現に向けて、洗剤やシャンプーなどのフィルム容器(つめかえパック)のリサイクルに協働で取り組むことを発表した。「リサイクリエーション」として、使用済みつめかえパックの回収インフラの構築とリサイクル技術の開発を目指し、現在も実証実験を継続している。
イトーヨーカ堂とウエルシア薬局は、イトーヨーカドー曳舟店とウエルシア薬局約30店舗に回収ボックスを設置し、消費者から使用済みつめかえパックを回収。花王、ライオンと協働し、リサイクルに対する消費者の理解・協力を深めるための普及・啓発活動を促進し、回収量の増加を目指した。
また、ウエルシア薬局の物流を担うハマキョウレックスとともに、効率的で環境負荷を抑えた物流プロセスも検討。ウエルシア薬局各店舗への商品配送の帰り便を利用して、使用済みつめかえパックを集荷し、物流センターに集積。ある程度の量が集まった段階でリサイクルを行う拠点に配送するというプロセスの有効性を確認している。
このような活動の成果の1つとして、花王とライオンは2023年5月に、再生材料を一部に使用したつめかえパックを初めて製品化した。
花王は、和歌山工場に導入したフィルム容器リサイクルのパイロットプラントにて、フィルム容器の技術開発・検証を進め、つめかえパックの一括リサイクル技術を確立している。
この記事は粧業日報 2024年2月28日号 3ページ 掲載
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