粧業日報 2024年4月19日号 4ページ
カンタンに言うと
花王は、2023年4月~2024年3月までの1年間、鹿児島県薩摩川内市にて、総合リサイクル業のナカダイの協力のもと、鹿児島県薩摩川内市内の約1300世帯を対象に、トイレタリー製品のプラスチック包装容器類を薩摩川内市の資源物回収ルートに乗せて回収する実証実験を実施し、その結果と今後の展望を報告した。
自治体の資源物回収ルートを活用するリサイクルのスキームはすでに飲料用ペットボトルにおいて確立されているが、トイレタリー製品のプラスチック包装容器での実証実験は今回が初めての試みだった。現在複数展開中のリサイクル実証実験で見えてきた「回収量の確保」や「回収にかかるコストの削減」といった課題の解決を図り、持続可能な回収スキームの確立を目指していく。
今回の実証実験は、薩摩川内市で月2回程度、住民が洗浄・乾燥させたトイレタリー製品や食品の包装容器、色のついた食品トレーといったプラスチック容器を、自治体が資源物として回収。参加者が回収に協力しやすいしくみとして、回収対象をチューブ類を除いたトイレタリー製品のプラスチック包装容器全体とし、生活者が日常的に資源物回収に使用している自治体のリサイクルステーションを回収場所に設定した。
目標回収量を約1100kg(実証実験開始時点)に設定し、商品の材料として安定して使用できる「回収量の確保」を目標に取り組みを進めた結果、対象世帯は約1300世帯、回収量は715kgという結果になった。対象外の包装容器類は全体の3%と非常に少なく、約9割が洗浄・乾燥済みの品質の高いものとなっていたことから、回収品の98%の再資源化が可能と見込まれた。
実証実験の実施期間中、分別回収におけるしくみの抱える課題や回収へのモチベーションアップのヒントを把握するため、参加者に対しアンケートを実施した。
環境負荷低減、資源の有効活用など実証実験の意義には一定の評価が見られた一方で、分別・洗浄・乾燥、回収ボックスまでの持参といった手間に負担を感じるという意見が多く挙がった。
特に、回収の機会が隔週に限られている、回収までの間に家で保管するスペースの確保が必要、スーパーなどいつでも回収してもらえると助かる等、改善を求める声が多く寄せられた。
以上の結果を受け、2024年4月~2025年3月までの1年間、実証実験から得た知見を反映させた新たなスキームで、薩摩川内市の協力のもと、花王とサーキュラーパーク九州を中心として実証実験を展開していく。
新スキームでは、資源回収を実施している薩摩川内市内のスーパーにて回収を開始する予定だ。また、ナカダイが担っていた分析作業等を、サーキュラーパーク九州の薩摩川内市での事業開始に伴い、サーキュラーパーク九州が引き継いで実施していく。月2回程度に限られていた回収の機会が大幅に増加することによる回収量の増加が見込まれるという。またコストについては、スキーム全体の中で、引き続き関係者間で検討を続けていく。
この記事は粧業日報 2024年4月19日号 4ページ 掲載
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