粧業日報 2024年5月28日号 1ページ
カンタンに言うと
資生堂は、肌の健康と美しさを維持するための新たなメカニズムとして、世界で初めて、匂い結合タンパク質「OBP2A」がヒトの表皮では恒常性維持に寄与し、表皮バリアの一端を担っていることを発見した。ヒトの鼻の内側に存在する匂い結合タンパク質「OBP2A」は、細胞にダメージを与えるストレス分子をフィルタリングする機能があることが知られている。
研究では、そのOBP2Aが表皮でも発現していることを解明した。また、OBP2Aの発現を高める成分「フランス産ホワイトリリー花エキス」も見出している。今後、研究成果を活用し、環境変化の激しい現代社会においても、健やかで美しい肌へと導くソリューションの提供を目指す。
今回、皮ふの免疫染色を行い、表皮内にもOBP2Aが存在することを明らかにした。また、OBP2Aを減少させた表皮細胞に、環境中にある匂い成分ノネナール(外的ストレス分子)と皮脂や汗などに含まれる成分であるオレイン酸、パルミトレイン酸(内的ストレス分子)を与えると、ストレス分子に対する防御力が低下し、細胞生存率が下がることがわかった。
さらに、OBP2Aを減少させた表皮モデルでは表皮厚が薄くなり、肌のうるおい成分であるラメラ顆粒の分泌が減少することと、水分蒸散量が増加し表皮バリア機能が低下することもわかった。加えて、OBP2Aの発現量を高める効果のある成分についても探索を行い、ユリの一種であるマドンナリリーの花から抽出した「フランス産ホワイトリリー花エキス」に、表皮中のOBP2Aの発現を高める効果があり、表皮厚を増加し、水分蒸散量を低下させ、表皮バリア機能を高めることを発見した。
資生堂では、五感を刺激する物質に対して、肌がそれらを自ら認識する機能について研究を進めている。肌が本来持っている力を解明し、その機能を強化することで、どんな環境でも揺るがない健やかで美しい肌の実現を目指す。研究成果の一部については、サイエンス分野で歴史と権威のある国際的な研究集会である「Gordon Research Conference」(2023年8月開催)にて口頭発表に選ばれた。
今回の研究はR&D戦略3本柱の1つである「Skin Beauty INNOVATION」のもと、皮ふ内部の状態と肌との関連を明らかにする皮ふ基盤研究領域を応用し、肌が持つ知性とも言うべきハイレベルな機能を明らかにすべく進められた。
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この記事は粧業日報 2024年5月28日号 1ページ 掲載
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