第6回 オイルコスメ

【週刊粧業2016年3月14日号5面にて掲載】

 今回取り上げるテーマは、いま化粧品市場で最も旬といえる『オイルコスメ』です。

■本格的なブーム到来

 かつてオイルといえば、「べたつきそう」「重そう」「ニビキになりやすそう」といったイメージがあり、敬遠する女性が少なくありませんでした。しかし近年、オイルの精製技術が高度化したことにより、使用感は一段と向上し、オイルを普段のお手入れに取り入れる女性が増えています。

 また、オイルならではの機能や用途も人気の要因となっています。スキンケアでは保湿や保護を主目的にしたものが多いですが、近年はブースター効果を謳ったものも増えています。また、ヘアケアでは髪に潤いやツヤを与える機能のほかに、頭皮ケアとしてシャンプーの前に使用することもできます。

 こうした汎用性が(再)評価されたことに加えて、昨今のオーガニック・ナチュラルコスメブームとの親和性も高いことから、この1~2年で多くのオイルコスメが登場しています。

 なかでも顕著に増えているのが、複数のオイルを主成分とする「ブレンドタイプ」と、オイル以外の剤型(化粧水やシャンプー等)にオイルを加えた「インタイプ」です。

 「ブレンドタイプ」はブースターやエイジングケアといった目的別に、ツバキオイルやアルガンオイルなどを組み合わせて配合しています。1種類のオイルで構成される「シングルタイプ」は成分そのものの機能が前面に出やすいのに対して、「ブレンドタイプ」は独自の配合率によりブランドの個性を最も表わしやすいといえます。

 一方、「インタイプ」はオイルならではの特長を他剤型に取り入れたものです。特に、既存商品のリニューアルのタイミングでオイルを新配合する動きが活発になっており、オイルコスメの裾野拡大に貢献しています。

■急成長する市場

 では、オイルコスメ全体の市場規模はどれくらいでしょうか?

 弊社が昨年末に調査したところ、2014年度は前年度比15.8%増の887億円となっています。

 これをタイプ別にみると、シングル系が5.9%増の約143億円、ブレンド系が18.9%増の約183億円、イン系が17.6%増の562億円となっており、ブレンド系とイン系が急成長しているのがわかります。

 さらに分野別にみると、市場を牽引しているのはヘアケアとスキンケアです。ヘアケアはオイルコスメブームの火付け役ですが、2014年度はシャンプーなどに配合されたイン系が普及し前年度比36.4%増と大幅に伸びています。またスキンケアでも、各社がブレンド系のほか、イン系アイテムを相次いで投入しており、市場が活性化しています。

 こうした動きは今後、メイクアップやボディケアにも広がるとみられ、この先数年はオイルコスメ全体で2桁増の勢いが続く見通しです。
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松本 竜馬

TPCマーケティングリサーチ(株)マーケティングマネージャー

大阪大学大学院人間科学研究科博士課程修了。社会学(ジェンダー/セクシュアリティ論)を専攻した後、マーケティング調査や化粧品・美容業界に興味を持ち、2007年に総合企画センター大阪に入社。以来、一貫して化粧品・美容領域に特化した市場調査や消費者調査を多数手掛けているほか、化粧品企業や広告代理店などからのマーケティング相談への支援も行っている。

http://www.tpc-osaka.com/

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