第31回 「買い物」を単なる「モノを買う」消費行動にさせない販促を考える

【週刊粧業2017年6月26日号12面にて掲載】

 弊社の会員制美活サイト「コスメラウンジ」で、4月末~5月中旬の約3週間、「銀座コスメ体感クルーズ」という企画を主催しました。この企画を終了した現在、PR・販促面で想定内、想定外の様々な興味深い発見がありましたので、ここでご紹介させていただきたいと思います。

 当企画は、今春GINZA SIXのオープンなどで賑わう銀座にエリアを限定し、「コスメラウンジ」の会員である美容関心層やインスタグラマー等デジタルインフルエンサー向けに参加ブランドの店頭に来店してもらう趣旨で開催しました。

 会員は来店時のカウンセリングの感想や購入した商品情報をSNSに投稿し、その中から抽選で各ブランド主催の体感会に参加資格が得られるという流れで、「店舗来店」と「イベント参加」がセットになった企画です。

 ブランドにとっては、メンバーが「店頭」→「SNS投稿」→「イベント」と段階的にブランドに触れるステップを踏むことで「愛着度の高まったファン・顧客予備軍の獲得」という成果を得ることができました。

 つまり、3段階目のブランド主催のイベント開催時には「参加者全員が店頭でブランド予習済み」の状態なので、盛況ぶりも関心の高さも格段に大きいのです。ブランドからは「同じ費用と労力をかけてイベントだけを開催するより関心の高いファンや顧客を得られ、費用対効果が高かった」と高評価でした。

 一方、会員メンバーは「企画をきっかけに初めてそのブランドのカウンターに行った」という新規層が実は意外に多く、企画がカウンターにメンバーを出向かせる「大義」の役割を果たしたことは、私たちにとっても嬉しい成果でした。

 コスメ関心層が普段からあらゆるブランドカウンターを熟知しているわけではないのだ、と認識も変わりました。また、元々美容関心層なので購入への潜在需要も高く、接点を設けることで、あるブランドでは来店者の7割近くが購入するという成果も残りました。

 ここまでは、当企画を主催した目的として想定内だったのですが、予想を上回ったのが消費者の「買い物を楽しむ気持ち」の高さです。「クルーズという新しい発想にワクワクして買い物も楽しかった」という企画自体を楽しんだという声が非常に多く、これは新たな発見でした。ただ欲しい「モノ」を手に入れるだけならば、今の時代ECの方が時間の節約にもなります。

 しかし、今回のメンバーは「特別体験」に時間とお金をかけたのだな、と実感しました。「買い物」を単なる「お金を使う」消費行動にせず効率性では割り切れない目に見えない魅力をどれだけ提供できるか。「リアル」に多くの可能性を確信した今回の企画でした。
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松下令子

美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役

「顧客と一緒に汗を流す」をモットーにPR・販促事業を展開。 医療機関テスター設置活動など独自の販促支援事業が好評。 「当連載では、私たちが業務を通じて得た“今日から試せる”  PR・販促施策のヒントをあらゆる角度から提案します」

http://www.ds-p.net/

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