コーセー、くすみを抑え明るさ取り込む新規カバー粉体を開発

粧業日報 2018年6月7日号 3ページ

コーセー、くすみを抑え明るさ取り込む新規カバー粉体を開発
 コーセーは、様々な光環境を再現できる多波長可変実験室(パナソニックエコソリューションズ社)で、素肌が美しく見える波長特性の解析を行い、くすみを抑え素肌の明るさを引き出すベースメイクアップ化粧料用の新規カバー粉体を開発した。

 なお、今回開発した粉体は、新技術として特許出願を行っており、この研究成果を今秋発売の新商品へ展開していく。

 人が視覚で感じる肌色は、肌に当たる光の反射光の色であるため、肌上での光の反射をコントロールすることで、肌印象を変えることができる。これまで、主に分光イメージングカメラを用いて肌印象の評価を行ってきたが、画像と実物の見え方の違いにより、肌印象の評価精度に差が生じることがあった。

 そこで同社では、多波長可変実験室を用い、様々な波形の光を実際に人の肌に照射し、それを目視評価することで、人が見たままの主観で肌印象を評価する方法を試みた。

 この方法により人の実感覚に基づいて美しく見える肌色と反射光の波形についての関連性を見出し、「美しい肌色とは何か」体系的な理論構築に向け研究を進める中で、「黄色領域の反射光を抑える」ことが、「肌の凹凸や色ムラを隠し、くすみのない透明感のある明るい印象を与えることにつながる」ということを明らかにし、この解析結果をもとに新素材の開発を行った。

 そして同社が目指す美しい肌をベースメークによって叶えるためには、肌の凹凸や色ムラをカバーしつつ、肌と一体化して素肌を美しく見せる新たなカバー粉体が必要であるとの考えに至った。

 新規カバー粉体は、従来のカバー粉体に比べ大きく丸みを帯びた特殊形状をしており、この形状にすることで、塗布した際の伸び広がりが良く、肌上に密度の低い膜を形成することが可能となった。これにより、肌の凹凸や色ムラは重ねづけしても白膜感のない自然な仕上がりの上にしっかり隠すことができ、化粧膜内部に入る光量を増加させることで、素肌の情報を多く外に出し、素肌を活かした明るい肌へ導く。

 また、複数の金属酸化物で表面がコーティングされており、多層構造になっていることから、粉体の透過・反射する光の波長がコントロールされ、黄色領域の反射光を抑えて美しい肌になるという。

 今回開発した新規カバー粉体と、従来のカバー粉体を塗布した膜に、白色光(ハロゲンランプ)を透過させたところ、従来のカバー粉体を塗布した膜を透過した光は、光量が少なく、暗く、黄ぐすんでいるのに対し、新規カバー粉体を塗布した膜を透過した光は透過性に優れ、極めて光量が多く、広い面積で明るく澄んだ色となっていることがわかった。この特徴的な光学特性により、素肌の自然な色味を活かした明るい印象の肌へと導くことが可能になった。

 同社では今後も、直接観測による肌色評価方法を用い、肌反射光解析の深掘りをさらに進めることで、独自の美しく見える肌色理論の構築に向け、様々なアプローチで研究を進めていく。また、理論構築と同時並行で、得られた知見をもとに生活シーンに合わせた効果の高い素材・製剤の開発に結びつけていく。
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