資生堂、たるみの認識と実態の間に8.1歳の差があることを解明

粧業日報 2023年8月24日号 2ページ

資生堂、たるみの認識と実態の間に8.1歳の差があることを解明
 資生堂は、顔の見た目年齢に大きな影響を与える「たるみ」に関して、自己認識と実際の状態の間にギャップがあることを解明した。

 たるみが顕著に表れる頬、目、フェースラインの3部位に関して調査を行った結果、最も大きなギャップが生じた頬において、その差は8.1歳にも達した。

 さらに、自身のたるみ状態を正確に把握することは、たるみケアへの意欲を高めることを明らかにした。この研究成果をもとに、本人の状態に合ったたるみケアと、それを適切なタイミングでサポートするソリューションの開発を進めていく。

 加齢とともに、顔の肌が垂れ下がる現象、即ち「たるみ」が進行し、見た目の年齢を決める大きな要因となる。実際、たるみは美容に関する悩みの上位に挙げられるが、長年たるみ改善は美容医療以外の方法では難しいとされていた。そこで同社は、この研究領域にパイオニアとして取り組み、肌の複数の機能が衰え重力に抗えなくなることで、たるみが引き起こされることを明らかにしてきた。

 この一連の研究の中で、たるみは比較的早い年代から始まることを報告しているが、多くの人がたるみを気にして、ケアを始めるのは中年代以後で、そこには大きなギャップが存在している。そこで、本人が自身のたるみの状態を、どの程度認識しているのか、また実際の状態と自己認識の差が生まれる原因は何かを解明することにした。

 従来、たるみに関する自己認識を調査するためには主にWeb等を利用したアンケートによる研究手法が用いられてきたが、たるみの程度を判定する基準のあいまいさや、回答者本人の意識・関心のばらつきにより、たるみの自己認識を正確に把握することが困難だった。

 この課題に対して今回は、同社が開発し、学術的にも認められているたるみの判定基準写真を用いて、自身の写真を見ずに判定基準の写真を見て判定した自分のたるみ度合いをたるみの「自己認識」、別途撮影された自身の写真と判定基準の写真を同時に見て判定した自分のたるみ度合いをたるみの「実際の状態」とし、その「ギャップ」を調べた。

 この方法を使いて、30~40代の日本人女性36名を対象とし、たるみが顕著に起きる頬、目、フェースラインに関して、自己認識と実際の状態の測定を行った。その結果、たるみの自己認識は、3部位とも本人の自己認識の方が、実際の状態よりも有意に低く、たるみが少ない状態と認識していることが明らかになった。また、この差を、たるみ度合いと年齢との関係を表す数式にあてはめ年齢に換算すると、頬部では8.1歳の差となった。この結果から、自身のたるみの状態は正確に把握されていないことがわかった。

 次に、このたるみ認識のギャップが生まれる原因を検討した。様々な角度から対象者の顔の写真を撮影して比較したところ、正面から撮影した顔では、たるみを検出することは困難で、斜め方向から撮影した顔では、たるみが明確に認識できることが明らかになった。これは、斜めから見た場合には、立体的な顔の形状の把握が容易なためと考えられる。日常生活の中では、鏡で自分の顔を正面から見る機会は多いものの、斜め方向から見ることは少なく、たるみの認識が困難な正面の顔を基に、自身のたるみ程度を認識していると考えられた。

 さらに、この自分のたるみを正確に認識することが、本人にどのような影響があるのかを検討した。斜めからの写真を見る前後で、たるみ改善への意欲を段階評価法で比較したところ、写真を見た後ではたるみ改善意欲が高くなった。この結果から、たるみの認識のギャップにより、本人が適切と思えるたるみケアが実施できていない可能性が示された。
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