PALTAC(吉田拓也社長)は人口減少でマーケットが激変する中、業種・業態の枠を越えた流通産業全体のサプライチェーンの構築に取り組む。
新たな成長を遂げるうえで若い力が必要とされ、50歳で抜擢された吉田社長は、従来の枠組みを見直し、新たな中間流通を創っていくことを宣言した。
今年度は中期経営計画の最終年度で、原材料や物流費、人件費をはじめコスト増に直面する厳しい状況にあるが、取引先との連携によるトップラインの拡大で吸収し、目標の達成に邁進する。
「同時に来期以降の中計を策定するが、今回は新しい体制下で10年先を見据えた長期ビジョンを検討したいと考えている」(吉田社長)
物流を中心に生産性向上を継続、
物量の波動をつくらない工夫を
――コロナ禍の収束の影響は、いかがですか。
吉田 3年間、生活面で大きな変化をもたらしましたが、ここにきて、ようやく出口が見えてきました。巣ごもり生活で特需となった家庭用品、あるいは石鹸、消毒液、マスクは昨年対比では低下していますが、コロナ禍前と比べると、市場は伸びています。
一方、人流の回復によって、これまで低迷していた基礎化粧品やメークアップ、レジャー用品、人体用虫除け、日やけ止めなどは以前の水準に戻りつつあります。
われわれとしては、世の中の変化に対応し、お客さまが求める商品をきちんと供給していくため、すでに商品調達や品揃え・棚割の提案にシフトしているわけですが、ロシア・ウクライナの問題を含め、しばらくは円安、原料高による厳しい環境が続くと考えています。
――加えて、ガソリンやセンターフィーなど物流費も上昇しています。
吉田 物流に関わることは過去から取り組んでいる課題です。社内では物流面を中心に生産性向上に取り組んできましたが、同じ商品をいかに少ない人時数で出荷できるか、あるいはオリコン当たりの出荷量の引上げのほか、トラックの積載効率をいかに上げていくかということに引き続き取り組んでいます。
一方で、中間流通業はどうしても固定費がかかり、コストを抑えるのには限界がありますので、お取引先さまと連携しながらトップラインを上げることによって、コストの上昇分を吸収します。
ポイントとなるのは、われわれを構成しているコストは小売業さまのセンターまで運ぶコスト、メーカーさまから仕入れるコスト、あるいは返品に関わるコストと、すべて原価やコストに影響されてきますので、社内努力だけの吸収では、やはり限界があります。
そうしたことから、メーカーさまへ発注した商品の受け入れ方も、数年前から物凄く工夫を重ねています。これは、メーカーさまのコスト削減に寄与できる話しでもありますので、一括発注や早期発注でメーカーさまの物量に波動をつくらない工夫を重ねており、これは協力して取り組んでいます。
小売業さまへの配送コストも同様で、いかに波動をつくらないために平準化していくかということが流通のコスト減に貢献できるポイントになると考えています。
さらに店舗のコスト、人員配置もそうですが、波動をつくればつくるほど、小売業さまにも無駄なコストが発生してしまいます。メーカーさまと小売業さまの中間に位置するわれわれの立場を活かして、業界全体で電気代、人件費、センターフィーなどを吸収する努力をしていきたいと考えています。