岩瀬コスファ、サステナブルでストーリー性のある原料を提案

C&T 2023年12月15日号 34ページ

岩瀬コスファ、サステナブルでストーリー性のある原料を提案
 岩瀬コスファは、イソマルトオリゴ糖を主成分とした、サステナブルなヘアケア原料「Lissenare」(林原、Lissenareは林原の商標)の提案に注力している。ISO16128に基づく自然指数は1.0で、生分解性があり、環境に配慮した新しいスタイリング剤やトリートメント剤に活用でき、中国での使用も可能だ。

 イソマルトオリゴ糖の中でも、べたつきにくいパノースや、結晶化しないイソマルトースをバランスよく含み、感触の優れた柔軟な被膜を形成する。そのため、外から力を加えても壊れにくくフレーキングを抑制し、さらにセット樹脂と併用すると強いセット力が得られる。

 また、トリートメント効果が期待でき、ごわついて硬くなりがちなダメージ毛のしなやかさを改善し、毛髪に強度を付与することで切れ毛を抑制する。スタイリングとトリートメント機能を兼ね備えているため、リーブオフからリーブオン製品まで幅広く活用できる。

1953-01-01 00:00 フレーキング抑制の試験も実施している。毛束に既存添加剤(グリセリン2%+ソルビトール1%)またはLissenare3%配合ジェルを均一に塗布し、完全に乾燥させた後、室温22℃・58~60%RHで1時間静置し、5回コーミングしてフレーキング状態を観察した。その結果、Lissenareをヘアジェルに配合することによって、既存添加剤の組み合わせに比べ、顕著にフレーキングを抑制できることがわかった。

 また、これまで両立が難しいとされていた、セット力と優れたアレンジ性を兼ね備えたスタイリング剤を実現できる。市販品、セット樹脂5%のみ、セット樹脂5%に既存添加剤(マルチトール5%+PEG1500・5%)またはLissenare10%を配合したミストを毛束に一定量塗布し、平板上に成型して22℃・50%RHで乾燥させ、成型した毛束を曲げる応力の最大値をセット力、半値幅をアレンジ性として評価した。

 その結果、市販品、セット樹脂+既存添加剤ではアレンジ性は高いものの、セット力が弱く、セット樹脂+Lissenareでは、アレンジ性とセット力を両立できていることがわかる(図1)



 ダメージ毛の感触改善に対する効果も期待でき、実施した試験では、毛束をLissenare5%またはソルビトール5%水溶液に10分間浸漬し、水洗、乾燥させた後、曲げ硬さ(B値)を測定した。その結果、Lissenareでダメージ毛を処理することで、毛髪の柔らかさを改善することがわかった(図2)

 高い毛髪補修効果をもつためヘアトリートメントや、セット力とアレンジ性の両立、新しい感触を付与できることからスタイリング剤での検討が進んでいる。

 非常に高い酸化安定性を持ち、ほとんどの油に対して優れた溶解性を発揮するバイオベースオイル「AlgaPūr HSHO Algae Oil」(Lubrizol社、AlgaPūr HSHO Algae OilはLubrizol社の商標)の引き合いも増えている。

 生育に必要な水の消費量が少なく、糖の収率が最も高い作物の1つであるサトウキビを原料とし、密閉発酵タンク内で微細藻類が糖を直接油に変換するシンプルな製造プロセスを採用している。また、サトウキビの廃棄物からエネルギーを調達することで二酸化炭素排出量の削減を実現した。

 100%天然原料であることはもちろん、高いトレーサビリティ、ヴィーガン対応、パームフリー、生分解性など、昨今の潮流で求められる項目の多くを満たした、サステナブルな原料といえる。



 また、不飽和脂肪酸を多く含むにも関わらず、安定性に優れており、他の油と比べて酸化が始まるまでの時間が長いため、抗酸化剤の添加量も少なくすることができる。

 120℃にて、AlgaPūr HSHO Algae Oil、ココナッツオイル、アルガンオイル、オリーブオイル、サンフラワーオイルの酸化開始タイミングを確認したところ、AlgaPūr HSHO Algae Oilが最も酸化開始タイミングが遅いことがわかった。これは25℃で換算すると4.8年間に匹敵する(図3)

 経時による匂いや色の変化が少なく、抗酸化成分必要性が低いのに加え、浸透性が良く、幅広い油剤に対して優れた相溶性を持つことから処方化が容易だ。塗布後も油っぽくないシルキーで滑り性のある感触を特徴としている。
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