カンタンに言うと
資生堂は、化粧水に含まれる有用成分を効率よく均一に肌内部へ浸透させ、隅々まで届ける、より高いスキンケア効果が期待できる新たな化粧水処方技術を開発した。
水をはじく性質をもつ肌の上では、化粧水の塗布膜が不均一な状態になりやすいことに着目し、特定の自然由来成分を用いて肌と親和性の高いベシクル構造を構築することで、肌の上に均一な塗布膜を広範囲に形成することに成功した。
また、新規に確立した分析技術を用いて、美白有効成分m-トラネキサム酸の浸透促進評価を行ったところ、この技術を活用した製剤では、一般的な化粧水処方技術を活用した製剤と比較して、素早くより多く、肌内部へm-トラネキサム酸が浸透することを確認した。今後、より一層高い効果を実感できる新しいスキンケア製剤の開発へと応用していく。
これまで、同社のスキンケア製剤における化粧水処方技術は発展を続け、様々な処方を生み出してきた。今でも多くの化粧水に活用されているミセル可溶化技術から、エモリエント効果の付与やべたつかずなめらかな塗布後の感触を実現した処方技術に続き、今回は有用成分をすばやく浸透させることでより高いスキンケア効果を期待できる処方技術を開発することを目指した。
肌表面にある角層は、油と親和性が高く、水をはじく性質があるため、水を多く含む化粧水は肌上で不均一な状態になりやすいことから、有用成分を効率よく均一に肌へ浸透させることは難しいとされてきた。
そこで、生物が持つ特徴的な構造などを模倣する「バイオミメティクス」に着目し、肌を模した構造体を有することで肌との親和性を高め、化粧水有用成分の浸透性も高められるのではないかと考え、研究を進めた。
表面張力が低い液体は疎水性の肌表面に素早く展開し、ムラなく広がることにより、有用成分が効率よく肌に浸透することが期待されることから、低い表面張力をもつ製剤を作り出すために、細胞膜の構造を模したベシクル構造に着目した。また、環境や安全性への関心が高い顧客ニーズに対応するため、自然由来成分である200種のポリグリセリン脂肪酸エステルからスクリーニングを行った。
その結果、細胞膜を模したベシクル構造を形成できる成分を見出し、製剤中にベシクル構造を作ることに成功した。この技術を活用した製剤は、一般的な化粧水技術を応用した製剤と比べて、表面張力が低く、素早く液体が隅々まで肌上に広がることができるため、なじみが早く、高い浸透感を実現した。
次に、ヒトの皮ふを用いてメラニン生成抑制効果を有するm-トラネキサム酸の浸透促進効果の評価を行ったところ、この技術を活用した製剤は、一般的な化粧水処方技術を活用した製剤と比較して素早くより多くのm-トラネキサム酸を肌へ浸透させることが、新規に確立した分析技術によって確認された。
この技術のベシクル構造は肌上に均一に展開する膜に形を変化することで、製剤の表面張力が著しく低下し、肌の隅々まで素早く広がり、しっかりと薬剤を肌に届けることができるという。
この記事は粧業日報 2024年3月4日号 2ページ 掲載
■12月の家庭用洗浄剤出荷額4.2%減、3カ月連続のマイナス~年間出荷額は1.3%減の6658億8400万円■資生堂、高いスキンケア効果を期待できる化粧水処方技術を開発■花王、蚊よけ商品をシンガポールで発売■日進化学、マレーシアの化粧品OEM会社を完全子会社化■トーヨー工芸工業、写真のように高精細なチューブ印刷を実現
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