進洋、紙や脱アルミなど環境配慮フィルムが好調

C&T 2021年9月15日号 18ページ

進洋、紙や脱アルミなど環境配慮フィルムが好調
 化粧品に特化したラミネートフィルム専門商社の進洋では現在、環境配慮包材として主に4つのフィルム(紙構成・遮光・バイオマス・リサイクル)を提案している。

 その中でも近年、バリア性能を担保しながらプラスチック使用量を削減することでプラマークから紙マークへの表示に切り替える「紙構成フィルム」と、輝くような白さが際立ち、アルミ箔に匹敵する遮光性を持つ「遮光フィルム」への引き合いが高まっているという。

 同社では、20年以上前から化粧品分野において紙構成フィルムの供給を行っており、「プラスチック使用量の比重を減らす」「細かい文字の再現性」という2つの課題にこれまで長らく取り組んできた。



 「紙構成フィルムは、一般的なPETフィルムと比べて表面が凹凸なため印刷インキが付きにくく、文字の大きさ(ポイント数)が必然的に大きくなってしまう。『実験大好きカンパニー』を掲げる当社では、こうした紙製フィルムのデメリットを解消すべく、フィルムメーカーや印刷加工を行うコンバーターから協力を得て、これまで徹底的に印刷精度の向上に努めてきた。その結果、複雑なグラデーションの色表現が可能なグラビア印刷でもポイント数の小さな文字が潰れにくくなり、お客様にも納得いただけるレベルとなったことで受注が堅調に推移している」(石井聖一社長)

 遮光フィルムは、JAPAN PACK 2019(日本包装産業展)で初披露し、既に大手化粧品メーカーなどで着実に採用実績を積み重ね、売上の大きな柱に成長している。

 遮光性能に関しては、産業技術総合研究所が実施した実験で、可視光線・紫外線・赤外線といったあらゆる光の波長を防ぐことが確認されているという。

 「アルミフィルムは製造工程でピンホールが発生してしまうが、この遮光フィルムはアルミ箔を使わないためピンホールが発生せず、安定的にあらゆる光を遮断することが可能だ。また、アルミ箔を使わないため、金属探知機による異物混入のチェックもできる。元々は食品用のレトルト袋での使用を想定しており、液体小袋自動包装に対応するほか、スタンディングパウチでも使用できる。当社はこのように用途開発屋であり、単にフィルムそのものを販売するのではなく、様々な視点から使用シーンを想定し、お客様に最適なラミネートフィルムを提案することを得意としている」(石井社長)



 バイオマスフィルムに関しては、環境負荷の低減や枯渇性資源である石油の消費量を削減するため、バイオマス原料やバイオマスプラスチックを一部使用した各種フィルムの開発が進んでいる。

 具体的には、PETフィルム、OPP(二軸延伸ポリプロピレン)、CPP(無軸延伸ポリプロピレン)、LLDPE(リニアポリエチレン)のバイオマス化を実現した。印刷や充填、製袋などの各種テストでは、石油由来のフィルムとほぼ遜色ない結果が確認されたという。

 リサイクルフィルムに関しては、ケミカルリサイクルを採用し、衛生面の安全性も証明されている。また、社内において包装・充填試験をはじめ各種物性試験をすべてクリアした上で製品を提案し、新規の採用が決まったという。



 このほか、モノマテリアルフィルムに関しては、化粧パフのパッケージで全てPPの単一素材フィルムを以前より販売しているほか、今後はモノマテリアル化したPETフィルムの開発を進めていくという。

 「環境配慮への取り組みに対して、お客様によっては考え方がそれぞれ異なり、対話を重ねることによってその企業が目指していく方向性を知ることができる。当社が提案するこれらの環境配慮フィルムは、あくまでもお客様との対話ツールであり、これを切り口として幅広いお客様との対話を重ね、お客様それぞれが思っていることや必要に感じていることを徹底的にヒアリングし、我々の思いや考えもそこでしっかりとお伝えしていく。これが環境配慮包材に注力している唯一、最大の目的であり、今後も様々なラインナップを取り揃えていきたい」(石井社長)
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