シャープは今春、100%出資子会社のシャープココロライフを通じ、マスク着用の日常化にともなう肌の悩みに応える医薬部外品のスキンケアアイテム「薬用Crystaliq(クリスタリーク)」シリーズを、ECサイト「ココロストア」にて販売を開始した。同シリーズは、第1弾として、3月に薬用保湿クリーム、5月に薬用保湿化粧水、薬用保湿乳液を発売した。
8月には、新アイテムとして、殺菌と抗炎症のダブル有効成分でニキビを予防する薬用洗顔フォームを発売しており、第1弾として展開した3アイテムと合わせたトータルケアを提案している。「Crystaliq」は、crystal(水晶)とliquid(水)をかけ合わせた造語で、水晶が持つ清潔感や透明感を、目指す肌のイメージになぞらえ名付けたという。
今回は化粧品業界でマーケティング・コンサルティング事業を展開しているソフィアリンクスの三原誠史代表が、シャープココロライフの社長の王孟芸氏、副社長の佐伯和裕氏(王氏、佐伯氏は取材時点の役職)、ソリューション開発部の森真世佳氏と対談し、化粧品製造に踏み切った背景や今後の展望について話を聞いた。
コロナ禍でマスクの生産スタート、
21年末で累計出荷数は3億枚突破
三原 家電業界で成長を続ける貴社がコロナ禍の中、社会貢献の一環としてマスクの製造に乗り出されたことは記憶に新しいことですが、その後、化粧品を出されたことは大変意外でした。業界でも今後の展開を注目する企業が多数あると伺っています。
まず、化粧品の発売に先立ち、2020年に御社から発信された内容では、化粧品や美容関連商品などを、自社のECサイト「ココロストア」経由で販売する計画であるとのことで、商品開発からチャネル戦略まで周到に準備されて化粧品業界に参入されたという印象を持ちましたが、参入に至った経緯についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
王 Crystaliqシリーズは、販売元がシャープココロライフ、製造販売元がコスモビューティーとして展開している医薬部外品のスキンケアアイテムだ。
2年前に感染症が拡大し、世の中がマスク不足となった際に、シャープがマスクの生産を開始し、シャープココロライフはその販売を担い、現在も販売を続けている。マスクは2021年末時点で累計3億枚を超える出荷を達成し、多くのお客様に愛用いただいている。
この2年間マスクを販売していく中で、マスク着用による肌悩みや、それらに関する調査結果などを目にするようになった。当社でも独自調査を行ったところ、女性の約4割、男性の約3割の方が肌あれやニキビに対する悩みを持っているという結果が出た。そこで、マスク着用生活がより快適になるようなサポートアイテムとして、スキンケア商品の販売を決めた。