化粧品OEM/ODM業界で国内最大手の日本コルマーは、「未来を描く共感コスメ」をテーマに、「第13回化粧品開発展 東京 COSME Tech2023」に出展する。
「開発者のこだわり処方」「素肌力向上」「新敏感肌処方」「感性に訴える」「SDGs」の5つの観点から、「共感コスメ」を捉え、全25品を展示する。
マーケティング部の別所侑香氏は、「近年、SNSで『いいね!』という共感からコスメのトレンドが生まれている。ブースに並べた製品に触れて、私たちの化粧品に対する想いを体感していただけたら嬉しい」と話している。
開発者のこだわり処方をはじめ
5つのトピックスでブースを構成
同社は国内5研究所・7工場体制で、スキンケアからメークアップ、ヘアケア、ボディケア、ネイル、フレグランスなどあらゆる化粧品の開発・製造を行っている。基礎研究・処方開発を行う研究開発員は約200名が在籍しており、年間約1000の新製品を生み出している。
今回の展示会では、「共感コスメ」をメインテーマに5つのトピックスを設け、初お披露目の新製品を中心に約25品をラインナップした。
展示ブースでは、各トピックスで開発製品を展示する。コンセプトの紹介からテクスチャーや色味などをその場で試せる体験型ブースで、企画力や開発力をアピールしていく。
5つのトピックスにはそれぞれキーワードを設けた。近年、SNS上でコスメのトレンドが生まれていることから、「#(ハッシュタグ)」での情報発信も意識したキーワードに設定した。
「開発者のこだわり処方」では、「#使ってみたい」「#こだわりコスメ」「#開発者ベスコス」をキーワードに6製品を展示する。
別所氏は、「SNSで話題化するコスメの多くは、その情報を発信された方の熱い想いが感じられる。それを、化粧品のことを知り尽くした開発者が行ったら、どうなるのだろう。そんな興味が湧いた」と話している。
近年、SNSでは現役の化粧品研究開発者が配信するYouTube動画なども人気を集めているが、そのリアル版だ。
「OEMの研究開発者として、普段はお客様であるブランドメーカーの要望を最優先に考え、要望に沿う形で最良のものを提案している。今回は『お客様の要望』という枠を外して、化粧品の研究開発者として本当に使いたい化粧品を作って欲しいと募った。会場で開発者のこだわりを聞いて触れて感じてもらえたら嬉しい」(別所氏)
会場では厳選した6製品を展示する。別所氏は、「このテーマについては今後も継続して取り組んでいきたい」と話している。
「素肌力向上」をテーマにしたコスメでは、「#毛穴ケア」「#効果実感」「#4点主剤」「#美白&抗炎症」「#新乳化技術」をキーワードに、高機能・高付加価値な開発製品を展示する。
4点主剤は、W美白・W抗炎症の薬用化粧品。化粧品の広告表現に関する規制が年々厳しくなる中、有効成分の効果を標ぼうできる医薬部外品で、高付加価値化を追求した。
「新敏感肌処方」では、「#IFSCC」「#肌に優しい」「#自然由来指数」「#防腐剤フリー」を掲げ、新しい敏感肌向け処方を提案する。
同社は、「肌に優しい」化粧品を追求し、化粧品に使用される防腐剤・防腐助剤が肌にどのような影響を及ぼしているかについて研究を進めている。直近の研究成果は、22年9月にロンドンで開催された「第32回 IFSCC 2022 Congress」にてポスター発表を行ったばかりだ。
同社は、合成防腐剤フリー処方で用いられる防腐系の代替原料(フェノキシエタノール、1,2―ジオール/1,3-ジオールなど)の中にも、炎症を引き起こすものや、刺激が強いもの、品質の安定化が難しいものを発見した。そして、従来品より肌への影響が少ない防腐設計を見出している。
「感性に訴える」化粧品は、高級感のあるテクスチャーを定義づけしたクリーム、爽快感のあるスカルプマッサージジェル、使うとさらさら髪になるマジックヘアウォーターなど、香りの効用を活かしたアウトバストリートメントなどをラインナップした。
同社のスキンリサーチセンター(SRC)では、化粧品を肌に塗布した時の使用感や香りの「心地よさ」を数値化する官能評価技術の開発を進めており、「感性に訴える」コスメゾーンでもその一部を紹介する。
前回の好評を受けて、今回も設けた「SDGs」ゾーンについて、別所氏は「当社としてもSDGsを重視しており、お客様への理解を深めていくことも目的としている。ただ、近い将来、SDGsは当たり前の取り組みになっていく。あらゆる開発製品でSDGs達成目標を語れるようにしていきたい」と話している。