日本色材工業研究所、フランスに製造拠点を持つ利点を活用

粧業日報 2023年5月19日号 1ページ

カンタンに言うと

  • EU・北米・アジアの地域別規制とトレンドに応じた製品を紹介
  • 今期は生産効率の向上とグループシナジー創出を強化
日本色材工業研究所、フランスに製造拠点を持つ利点を活用
 化粧品受託製造大手で、スキンケアからメークアップまで幅広く製品開発を手がける日本色材工業研究所(本社=東京都港区、奥村浩士会長)は、4小間を構える今展示会のテーマとして、フランスに製造拠点を持つ利点を活かし、EUや北米、アジアなど各国の化粧品規制にも柔軟に対応できる「グローバルODM」を掲げる。

 出展ブースの主な見どころについて、奥村会長に話を伺った。

 ――今回の見どころをお聞かせください。

 奥村 ブースではEU、北米、アジアの3つのエリアに分けて展示を行い、地域別のトレンドを盛り込み、各国の化粧品規制にも対応したアイテムを紹介する。

 EUエリアでは昨今、人体への安全性や環境保護の観点から配合成分の規制を強化する動きが加速しており、世界における化粧品規制の見本ともなっている。

 こうした動きに対して、フランスに拠点を持つ当社ではシリコンやタルクなどEUで一定の規制を受ける成分を使用せず、機能性に優れた「クリーンビューティ対応コスメ」を、スキンケアからメークアップまで幅広く提案できる。今展示会では、クリーンビューティをコンセプトにしたアイテムを単品だけでなく、1つのシリーズで提供できる我々の対応力や技術力を多くの人にアピールしていきたい。

 北米はEUと同様、環境配慮への取り組みが進んでおり、その一例として珊瑚礁への影響を懸念し、ケミカル系の紫外線吸収剤を避ける傾向にある。当社ではそれに対し、UVカテゴリーで以前から紫外線吸収剤を使用しない処方技術の蓄積があり、つくば工場では米国向けOTC(日やけ止め製品)の生産工場としてFDA(アメリカ食品医薬品局)に登録しているため、より高い水準にあるc-GMPへの取り組みを強化している。

 今回北米エリアでは、ナチュラルやノンケミカル処方をベースに、サンケアを中心とした「OTC製品対応コスメ」を紹介していく。具体的なサンケアの製品例としては、環境に優しく、耐水性と高温安定性の高い疎水性粉末成分を配合することにより、少量の紫外線吸収剤の使用でも高いSPF値を実現した「UVブーストファンデーション」を新たに提案する。

 アジアエリアでは、日本で好まれているアイテムを筆頭に、中国やASEANの各国規制に応じた製品サンプルを展示する。

 日本では、コロナ禍を機に効能効果や機能性をアピールできる「医薬部外品」が注目を集めているが、その多くはスキンケアが中心となっている。メークアップが主力の当社では、シワ改善効果を訴求する成分「ナイアシンアミド」を配合したパウダーファンデーションなど、市場でも珍しいメークアップの医薬部外品にも対応している。

 日本のトレンドとしてはこのほか、人目を引くユニークなデザインや形状のメークアイテムへの人気が高い。そこで今回は、おしろいやチークなどに用いられる外観が徐々に変わる意匠性グラデーション技術をベースメークなどに応用し、カバー力を徐々に変えられる技術(機能性グラデーション)として活用したアイテムなどを紹介する。



今期は生産効率の向上と
グループシナジー創出を強化

 ――今期(2024年2月期)は、どのような取り組みを進めていきますか。

 奥村 我々の主力製品であるメークアップは、多品種小ロットの受注が多く、自動化が難しいのが現状だ。そうした中で、前期から受注が回復基調にあり、今期に入ってもその勢いが継続している。

 今期はこうした急激な受注回復への対応が最大の鍵であり、工場での生産効率を高める取り組みを着実に進めていきたい。

 今期はこのほか、フランスの子会社(テプニエ・日本色材フランス)とのグループシナジーの創出に向けた取り組みをより一層強化していく。

 ここ数年はコロナ禍でフランスへの出張が制限され、対面での人材交流が難しくなり、デジタルを活用して日本からフランスへリアルタイムで処方・技術開発のノウハウをレクチャーしていた。今期は既に日本色材フランスへ社員を派遣しており、日本とフランスが対等の研究・技術レベルとなるグループ体制の構築を目指し、技術移管を進めている。

 今展示会のテーマに掲げる「グローバルODM」として、日本で開発した処方をテプニエ・日本色材フランスの2社に落とし込み、海外のクライアントに日本発の製品を提案し、グループ全体の売上を高めていきたい。
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