サンスター、皮膚感作性を定量的に予測するAIを開発

訪販ジャーナル 2023年9月4日号 3ページ

カンタンに言うと

  • 第50回日本毒性学会学術年会にて発表
サンスター、皮膚感作性を定量的に予測するAIを開発
 サンスターは、化学物質が皮膚に接触した場合にアレルギー反応を引き起こすリスクを評価する試験(皮膚感作性試験)にて、アレルギーが誘発される強度を予測するAIを独自に開発した。

 皮膚感作性は従来、動物実験によって評価されてきたが、近年では動物愛護の観点から動物を使用しない試験方法の開発が強く求められている。

 今回開発したAIでは、動物実験を実施せずに化学物質の皮膚感作性強度を予測することができるといい、研究成果を「第50回日本毒性学会学術年会」にて発表した。

 皮膚感作性は化粧品の安全性において重要な評価項目の1つとされ、従来は動物実験によって評価されてきた。しかし、EUにおいて動物実験が実施された原料を含む化粧品の販売が全面禁止となったことを契機に、動物を使用しない皮膚感作性評価法の開発が強く求められるようになっている。

 化学物質の皮膚感作性の「有無」を判断する定性的な評価手法は、「ハザード」評価法と呼ばれ、この評価においては、標準的な試験方法として広く普及している公定法で動物実験を行わない方法が複数存在する。一方で、化学物質が皮膚感作性を示す場合にその「強弱」を定量的に評価する「リスク」評価では、AIを含む動物を使用しない方法の開発と検証が進められている。そこで研究では、独自に皮膚感作性リスク評価を実施可能なAIを構築し、その予測精度を検証した。

 その結果、予測精度の指標であるR2値は、「学習用117物質(AIを学習させるためのデータ)」で0.995、「内部検証用39物質(学習したAIが学習用物質以外のデータでも機能するように修正するためのデータ)」で0.787、「外部検証用39物質(学習用と内部検証用から構築されたAIが、それ以外のデータでも機能することをテストするためのデータ)」で0.824となった。

 1に近いほど予測精度が高く、0.7~0.8 以上で充分に良いとされることから良好なスコアであるという。また、正解の値の1/5~5倍の範囲(5-fold)内に90%以上の物質(学習用:100%、内部検証用:93.5%、外部検証用:93.9%)が収まっていたことから、予測の誤差が少ないことも確認できた。

 今後、AIによる皮膚感作性リスク評価を実現することで、化粧品に配合される化学物質について、アレルギーの引き起こしやすさ(強弱)に関する安全性評価を、動物実験に頼ることなく効率的に実施可能になることが期待される。
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