アンズコーポレーション、3D皮膚モデル評価試験の実装で中価格帯市場を構築

週刊粧業 2023年10月16日号 53ページ

アンズコーポレーション、3D皮膚モデル評価試験の実装で中価格帯市場を構築
 化粧品ODMビジネスを推進するアンズコーポレーションは、独自の3D皮膚モデルを用いた原料、処方の機能性評価試験を行う新たな研究体制を構築した。現在、実装に向けて最終調整を進めているという。

 従来の3D皮膚モデルは、安全性評価を中心に使用されてきたが、同社は、表皮層や真皮層からなる高質な全層モデルの開発に成功した。

 山田昌良社長は、「原料や処方の機能性を捕捉することに幅広く活用していく」と計画を明かした。皮膚浸透性など機能性のプロセスも把握できるため、処方の改良・改善を効果的に行うことも可能だという。

 同社は、3D皮膚モデルの評価試験を取り入れたODMビジネスを推進することで、中価格帯スキンケア市場の活性化に貢献していく構想を立てている。

 「中価格帯は、ブランド力も必要であるが、ブランド力よりも機能性が期待されている市場だと捉えている。低価格化が進行してきた要因は、使い続けても期待したほどの効果実感を得られなかったからではないか。機能性を担保にした中価格帯市場を盛り上げ、付加価値の高い市場を形成して、コモディティ化の進行にも歯止めをかけていきたい」(山田社長)

 山田社長は今後、3D皮膚モデルの量産体制を整え、評価試験のコストダウン化を進めるとともに、刺激に敏感など特徴を付与した3D皮膚モデルの開発も進める。新たな3D皮膚モデルを用いた評価試験法の開発も進め、創薬支援も視野に試験の高度化を進める。また、産学連携や他企業との連携も図っていく。

 3D皮膚モデルを用いた評価試験以外にも、同社は60種以上の評価試験を自社で保有するなど研究開発型のODMとして、新規顧客との取引を獲得している。

 製品開発では、リップ製剤やバーム製剤の処方開発・溶融充填技術をはじめ、ナノカプセル技術、微細乳化技術などを用いて付加価値を訴求したODMビジネスを展開している。

 研究開発型ODMとして、山田社長は「引き続き、売上の5~6%を研究開発に投資していく」考えを示している。

 奈良県にある生産工場も、既存顧客の受注増加に加え、ODM案件で新規顧客の獲得が進み、「フル稼働に近い状態が続いている。新たな生産棟の建設も来期にかけて計画していく」(山田社長)という。
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