RAPHAS JAPAN、DEN製法でマイクロニードルの新たな可能性を追求

　RAPHAS JAPAN（ラパスジャパン）は、ドラッグデリバリーシステム（DDS）の一種で、医療分野で活用されている「溶解性マイクロニードル」を用いて、浸透力と安定性に優れたマイクロニードルパッチ化粧品の製造･販売事業を展開している。

　一般的な溶解性マイクロニードルは、遠心分離機の金型に有効成分を投入し、熱や光で乾燥･固形化する「Micromolding」製法が主流となっている。

　同製法では、金型から取り外した後、パッチ素材から貼り付ける工程が別途必要となり、量産化が難しいといった課題があった。また、脱泡が難しいため正確な容量が入れづらく、熱や光での乾燥により配合成分の安定性が低下するなどのデメリットもあった。

　それに対し、ラパスジャパンが特許を取得した独自製法「DEN（Droplet Extension）製法」は、金型を使用せず、美容成分を直接パッチ素材の上に滴下してマイクロニードルを成形することでより含有量の多い、強いニードルを作り上げる。さらに、従来のニードル成形で主に使われていた熱や光を一切使用せず、常温エアーでニードルを乾燥させることで美容成分をより安定的にマイクロニードルに保持し、肌の角質層へと浸透させるという。

　「DEN製法は成分の安定化が図りやすく、金型が不要なため、貼る部位に合わせてニードルの長さを自由にコントロールでき、量産化しやすい。この革新的な製法により、OEMではお客様が希望される成分や形状に合わせた製品設計が可能だ。また、日本だけではなく韓国、アメリカ、EU、中国などで関連特許を計36件取得しており、各国の規制に応じて針の長さを自由にコントロールでき、植物由来の美容成分をベースとした製品設計など幅広いニーズに対応できることが大きなポイントだ」（権有利（グォン･ユリ）社長）

　ラパスジャパンでは昨春、肌が必要とする美容成分をダイレクトに届けるマイクロニードルの自社ブランド「ACROPASS（アクロパス）」から、同社の特許技術により酸化しやすい美容成分のレチノールをマイクロニードル内に安定化させて高配合し、シミ･毛穴･シワ･乾燥などの肌悩みにアプローチする「レチノールマイクロニードルパッチ」を発売し、ブランドの主力商品となっている。

　アクロパスではこのほか、アクネ菌の増殖を抑制するナイアシンアミドを配合した「エイシーケア」も好調に推移しているという。

　今年3月22日には、目もとのくまを集中的にケアする目もと･口もと用マイクロニードル「VITAKMAP（ビタクマップ）」と、同社が日本で初めてマイクロニードル内に抗酸化成分として知られるアスタキサンチンを安定的に配合することに成功した唇専用マイクロニードル「CHULIP（チュウリップ）」を発売する。

　一般的な唇用パッチは、「貼っている時に口が開けられないといった課題があったが、今回発売するチュウリップは貼っている時でも口が開けられるので使いやすい。また、使用後はアスタキサンチンの天然色素が唇に染み付き血色を良くするほか、マイクロニードル自体が保湿成分（ヒアルロン酸）のため、ボリュームアップの効果も得られる」（権社長）という。

　同社では現在、ニードルコスメの新たな取り組みとして、DEN製法と同じ製造工程で成形したニードルを美容液やクリームなどに配合する「液体でも溶けないマイクロニードル」の開発を進めている。

　「従来のスピキュールは、動物由来のためヨーロッパで販売することができないほか、安全性のリスクが懸念されていることが難点となっている。それに対し、当社が現在開発を進めている『液体でも溶けないマイクロニードル』は、植物由来のヒアルロン酸をベースとした有効成分100%で成型するため、安全性が高い。また、従来のパッチタイプでは局所部位に使用範囲がとどまるのに対し、美容液やクリーム内に含有させる新たなマイクロニードルでは広範囲の部位に塗布することが可能だ。さらに、ニードル以外にも美容液やクリームに配合される他の有効成分との相乗効果により、複合的なスキンケア効果が期待される。実際に当社で行った臨床試験では、レチノールクリームだけを塗布した場合と新たなマイクロニードル配合のレチノールクリームを塗布した場合を比較すると、後者の方が高い有効性が確認された。液体でも溶けないマイクロニードルは今後、次世代のマイクロニードルとして業界でも革新的なものになると自負している」（権社長）