ここ数年、お正月のニュースで伝えられる「福袋争奪戦」の様子。今年、福袋の老舗、松屋銀座の先頭をキープしたのは、31日の3時から並んだという自称、福袋マニアの60代女性でした。狙いは、松屋一番のお得が詰まった高級婦人衣料の福袋。
一方、渋谷109で朝6時45分入場の権利をゲットしたのは、「セシルマクビー」のブランド福袋に狙いを定めた10代、20代の女のコ同士のグループ。ともに、年越しを並んででも年に一度の超お得を手に入れたいと奮闘する女性達の姿が映し出されていましたが、実はその「女心」に大きな違いがあることには、誰も触れていませんでした。
60代以上の大人の女性にとって、有名百貨店の福袋は、ブランドよりも信頼できる百貨店のセレクトであることが一番の価値。なので、1万円台の福袋にカシミヤ100%のセーターや、ウールのコート、ファーのストールのいずれかでも入っていれば、それだけで徹夜も何のそのの満足を感じることができるのです。
ですが、景気のいい時代を知らずに育った、オシャレはしたいけれどお金はかけられない10代〜20代の女のコ達は、福袋とはいえ、何よりも自分にとってのコスパ(コストパフォーマンス)が大切。どんなにお得でも欲しくないものは欲しくないし、逆にコスパを感じるブランド福袋には、あるだけお金を使いたいと思っているのです。
109で一番人気のブランド「セシルマクビー」が彼女達の心をとらえて離さないのは、可愛いデザインでつくりも悪くなく、それでいて値段はお手頃というコスパの高さです。一流ブランドを無理してでも買った今の40代、バブル世代とは全く違う価値観で育った彼女達は、瞬時にコスパを判断する能力が身についているからこそ、セシルの福袋をまっ先に選んでいるのです。
中村浩子
(株)ヴィーナスプロジェクト代表取締役社長
「JJ」「VERY」等ファッション誌の編集・企画を手がけ、黒田知永子や三浦りさ子等、その時代を代表するタレントをプロデュースし、トレンドを生み出してきた。 現在まで読者モデルを1万人以上発掘しており、現在は女性消費者を取材し続けてきたノウハウを活かし、ファッション・アクセサリー・ビューティに関わる商品開発やイベントを企画、ブランドプロデュース、コンサルティングまで幅広く行っている。
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