BBクリームのBBが「Blemish Balm」の略称であり、また、発祥が韓国ではなくドイツにあり、手術後の肌(皮膚)をケアするために使われていた治療薬にあった、といったことは知らずとも、1本で美容液効果から、UVカット、ベースメークまでカバーできる多機能コスメであるという製品特徴は、大半の女性が認知していることだろう。
もともとドラッグストアやバラエティショップなどのセルフ市場や通販市場において人気を博してきたBBクリームだが、近年では百貨店ブランドやラグジュアリーブランドから美白効果やエイジングケア機能を持つ高機能・高付加価値BBクリームが提案されるようになり、業態問わず、BBクリームを展開できる環境が整った。もはやBBクリームは日本の化粧文化に溶けこんでいる。
日本市場においては、2007~08年に韓国コスメブームの潮流とともに、BBクリームが市場で展開されるようになった。
時をほぼ同じくして1つでスキンケアを完結する「オールインワンジェル(ゲル)」市場が拡大しており、簡単・手軽に使える化粧品を指す「時短コスメ」の代表的なアイテムとして各女性ファッション誌が特集に取り上げ、化粧品市場全体が停滞する中、若い女性を中心にユーザーを獲得し、成長し続けてきた。
市場拡大に伴い、2008~09年頃より、日本のメーカーから日本人の肌色に合ったBBクリームの展開が相次いだ。その多くは「日本製」「国産」といった枕詞を付け、韓国化粧品ブランドから展開されるBBクリームとの差別化を図り、市場は一気に膨れあがった。
4~5年前ほどの勢いはないものの、機能をさらに増やす、あるいは、パウダー、スティックなど剤型で差異を図るなど、近年では付加価値訴求の競争が激化しており、今後も市場は堅調に推移していくものと見込まれている。
当初は単品での展開イメージが強かったが、今回取材したメーカーが提案するBBクリームに見られる通り、主力ブランドや新シリーズにラインナップされ、定番アイテムへと格付けされはじめている。また最近では、「BBクリーム越え」を目指した新たな多機能コスメも台頭していることからも、BBクリーム市場は成熟期を迎え、化粧品の新カテゴリーとしてポジションを確立したことが窺える。
成熟期にあって、消費者が求めるBBクリームとはどのようなものか。今回取材したメーカーがBBクリームに見出した価値(こだわり)から感じ取ってもらいたい。
【記事掲載企業】
◎資生堂「専科」、ミネラルウォーターでつくる多機能価値を啓発
◎カネボウ化粧品「フレッシェル」、累計1000万個を突破した大ヒットBBクリーム
◎コーセー「雪肌精」、「美白する和漢BB」を提案、若年層獲得に意欲
◎オルビス「ライブリッチ」、大人世代の時短ニーズに新たな提案
◎ドクターシーラボ「ドクターシーラボ」「ジェノマー」、国産BBのパイオニアとして市場を牽引
◎ちふれ化粧品「ちふれ」、累計販売45万個、目標上回る動き
◎ミシャジャパン「ミシャ」、豊富なラインナップで他社との差別化はかる
この記事は週刊粧業 掲載
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