中国で女性達にインタビューしていると「私は敏感肌なの」という言葉をよく聞きます。敏感肌とは、少しのきっかけで肌トラブルを起こしやすいバリア機能の低下した肌のことを指しますが、中国の女性達はその意味をもっと広くとらえているようです。具体的に言うと「ニキビや吹き出物が出来やすい」「乾燥が激しい」等、あらゆる肌トラブルの原因を「肌が敏感だから」ということに結びつけているようなのです。
また、この敏感肌を訴えるのは20代後半から40代前半までの働く女性が多いことも分かってきました。写真は北京のオフィス街で働く女性達の様子ですが、ここに写っているような女性達がまさにそのイメージ像です。
経済力もあり化粧品の購買欲も高いこの層は、ぜひ顧客として取り込みたい層と言えるでしょう。
ファッション雑誌でも、敏感肌の特集記事はよく掲載されます。以前ある中国の女性編集者に「日本の女性は自分の肌を実によく研究し理解している」と言われたことがあります。記事のアイデアは日本のメディアから得ることが多いと言うその編集者は、「敏感肌の原因を知ることの大切さを分かっていない人がまだ多い。今後は日本の雑誌のように原因を追究し解決策を提案するような記事を作っていきたい」と話していました。
敏感肌は遺伝的な体質が素因となることもありますが、大気汚染などアレルギーの原因になりそうな物があふれている中国においては後発的に敏感肌になる人も多いようです。私も北京に留学していた頃、ひどい敏感肌になった経験があります。病院に行き診察してもらった結果は何と「空気アレルギー」でした。実は北京ではこの空気アレルギーと診断される人が非常に多いのです。
しかし、空気に触れずに暮らすことなど可能でしょうか? 中国の肌環境の過酷さは想像以上です。そしてこの環境は年々悪化傾向にあります。敏感肌の女性は今後ますます増加していくことでしょう。
沖野真紀
中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役
定性調査に特化したインサイトマーケティングを得意とする。また、日本とアジアのメディアで美容通としても活躍中。その知見と現地調査でアジア女性の美容ニーズの分析に努めている。
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