化粧品のリテラシー
2013.01.15
はじめに
日本の化粧品市場はどう? と聞かれてどのように答えるだろうか。―少子高齢化が進む中、国内化粧品市場は単品アイテムの展開や販売チャンネルの多角化により、競争の激化が進んでいる。リーマンショックや大震災の影響で1兆5000億円だった市場規模が1兆4000億円にまで下がり、その後の回復も充分ではない。大手メーカーも海外市場は善戦しているものの国内市場は低迷感がある―と書けば頷いて下を向きたくなる。
しかし、お隣の韓国の化粧品市場は、似たような環境の中でも不況の中でどんどん成長し、2011年に8兆ウォンを超えると予想されている(図1)。なぜ伸びたのか、今回は"韓国(コリア)化粧品"に注目してみたい。
韓国の化粧品行政
韓国の化粧品規制は食品医薬品安全庁(以下KFDA)のもとで規制・運営されている。韓国の薬事法は1965年に制定され、医薬品・医薬外品・化粧品の分類で規制されてきたが、1999年に韓国特有の化粧品法が制定された。いわゆる許可が必要な機能性化粧品をつくり、一般化粧品と一線を画するものにした。ただし、日本の医薬部外品に相当する医薬外品のカテゴリーは存在し、品目として腋臭防止剤、養毛剤、染毛剤および除毛剤がある(図2)。
韓国の化粧品法で定義している機能性化粧品は次の3つである(韓国化粧品法第2条第2項)。
1. 皮膚の美白を補助する製品
2. 皮膚のシワの改善を補助する製品
3. 皮膚を美しく焼いたり、 皮膚の紫外線保護機能を補助する製品
KFDAで機能性審査を受けた製品だけが機能性化粧品とうたえ、そのように宣伝・広告ができる。しかし、日本の部外品申請とは異なり美白とシワなど複数の訴求が可能であり、機能性化粧品の告示品目の配合量限度内であれば製品名、主成分、含有量、性状など簡単な申告書を提出すると承認され、仮に新規でも3カ月と審査が早い。
ちなみに日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)であれば区分2でも照会等で半年はかかる。去年の韓国の機能性化粧品生産実績は1兆2000億ウォンを超え、KFDAの機能性化粧品審査は250社、約6000品目に達している。2000年に化粧品法が制定され、2001年に誕生した機能性化粧品の成長率は毎年20%以上である。
さらに、2012年2月に施行された新化粧品法では、製販制度、オーガニック化粧品の制度化、使用原料を規定した安全性強化策など、政府の対応が化粧品マーケットを考え先進的な動きをしている。
また2011年7月、韓国と欧州連合(EU)との間で自由貿易協定(FTA)が暫定発行された。韓国政府はFTA締結による国内化粧品産業の影響を分析した結果、競争力がEUの60~70%の水準にあるとして、競争力強化のためにR&D投資とインフラ構築支援に、5年間で700億ウォンの支援を行う。韓国政府は化粧品産業に畜産業と同じような支援策をとったのである。
翻って私たち日本政府はどうだろうか。私には日本の化粧品業界が過去に政府からこうした支援を受けた記憶はない。化粧品市場の盛衰も行政の世界の影響を少なからず受けることの証かもしれない。
1955年東京生まれ 工学博士 大分大学大学院工学研究科卒業、化粧品会社勤務を経て日油㈱を2014年退職。 日本化粧品技術者会東京支部常議員、日本油化学会関東支部副支部長、日中化粧品国際交流協会専門家委員、東京農業大学客員教授。 日油筑波研究所でグループリーダーとしてリン脂質ポリマーの評価研究を実施。 日本油化学会エディター賞受賞。経済産業省 特許出願技術動向調査委員を歴任。 主な著書に 「Nanotechnology for Producing Novel Cosmetics in Japan」((株)シーエムシー出版) 「Formulas,Ingredients and Production of Cosmetics」(Springer-Veriag GmbH) 他多数
(株)通販総研 化粧品専門コンサルタント
(株)フォー・レディー代表取締役
株式会社トレンドExpress 「中国トレンドExpress」編集長
琉球ボーテ(株) 代表取締役
女性潮流研究所 所長 / 商品企画コンサルタント
美容専門PR・販促支援会社 (株)DSプロモーション 代表取締役
TPCマーケティングリサーチ(株)マーケティングマネージャー
(株)矢野経済研究所主席研究員
(株)矢野経済研究所主席研究員
株式会社アイスタイル 取締役 CQO / コーポレート領域管掌
株式会社ES-ROOTS代表取締役社長、一般社団法人エステティックグランプリ元理事長
(株)ヴィーナスプロジェクト代表取締役社長
中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役
中国女性市場専門調査会社 (株)ブルームス代表取締役
フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士
週刊粧業 顧問(週刊粧業 流通ジャーナル 前会長)
新日本有限責任監査法人 公認会計士から見た化粧品・トイレタリー業界
新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー
新日本有限責任監査法人 シニアマネージャー
(株)船井総合研究所 東京経営支援本部 部長 グループマネージャー
LAFASO JAPAN 代表取締役社長
吉田法務事務所代表、日本薬事法務学会理事長
産業能率大学総合研究所主席研究員
(株)ネオマーケティング ビューティ&ライフチーム マネージャー
(株)ホットリンク ソーシャルメディア事業本部 コンサルティング部
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