第4回 その言葉で他社商品と区別できますか? 識別力のお話

【週刊粧業2015年11月16日号4面にて掲載】

 商標は自社商品と他社商品を区別する標識・目印ですので、どこの商品かを識別する力(識別力)がない商標は登録することができません。識別力がない商標の例としては、商品の普通名称(例=頬紅に「チーク」)や、簡単すぎる構成からなる商標(例=「AB」)などがありますが、化粧品業界において、識別力がないとしてよく問題となるのが品質表示語です。

 たとえば、その商標を使う商品の原材料(例=ハーブを原材料とする乳液に「ハーブ乳液」)であるとか、産地(例=米国産のローションに「アメリカローション」)、効能(マッサージオイルに「痩せるオイル」)など、商品の品質を説明しているにすぎないような言葉のみからなるマークは、識別力がないものとして審査で拒絶されます。以下では、ここ1年くらいの審決例を参考に、どういう言葉に識別力があって、どういう言葉に識別力がないかのボーダーラインについて見ていきたいと思います。

 まず、拒絶となった例を見てみましょう。「ベビーワセリン」は、乳児用のワセリンということを表しているだけなのでアウトです。「活性乳酸」も、単なる原材料表示と判断されました。また、「こころ安らぐキンモクセイの香り」という商標は、単に香りを説明するだけで識別力がないとして拒絶されました。

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髙橋 伸也

フルブルーム国際商標事務所 所長弁理士

早稲田大学政治経済学部卒業。日本でも数少ない商標専門事務所を経営。化粧品・日用品業界をはじめとした中小・ベンチャー企業の商標出願支援と外国・国際商標出願支援を得意としている。商標・ブランディングの専門家として数々のメディアに寄稿している。

http://www.fullbloom-tm.jp/

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